霧のむこうに住みたい

6件の記録
- ishiguro_reads@ishiguro_reads2024年12月16日読み終わったイタリア文学の翻訳やエッセイ、小説など、幅広い文筆活動に共通して、須賀さんは瑞々しい感性と力強いことばで世界について、人について描写する。 この本は、長年過ごしたイタリアでの記憶について書かれている。読みながら、須賀さんの目線で風景や人間関係を追体験する自分と、古くからの付き合いで須賀さんの話を聞いているような、親密なコミュニケーションのなかにある自分の、両方の存在を感じる。本を読むこともコミュニケーションなんだと気付かされる。 普段動画を見たり、SNSでの短くて端的で限定的な文字表現に触れるなかで、人の話をゆっくり聞く、あとで思い出して心が遠くに持っていかれる、というような経験をしばらくしていないな、と思う。読んでほっとする気持ちと、少し寂しい気持ちが入り混じる。