パルタイ

パルタイ
パルタイ
倉橋由美子
新潮社
1978年2月1日
5件の記録
  • 蛸足配線
    @nekoai30
    2025年5月22日
    多くの人間が腕をふってわきめもふらずに歩いている。あなたがたは金具のような眼と口を顔にとりつけ、自足して歩いている。みんな世界の掟に精通しているというふうだ。しかしそのじつだれも掟を知らないのだ。(P209) 『密告』を読んだ。「あなたがたの世界」と「反世界」「裏側の世界」との接点は至る所に開かれているらしい。絶えず背後から声を聞かされ続けるような居心地の悪さを感じる。
  • 蛸足配線
    @nekoai30
    2025年5月10日
    『貝のなか』を読んだ。生理的な野蛮さを全身に湛えた女たち。欲に爛れた不衛生な肉体と、きわめて観念的な「革命」の思想とが交錯する。Y・タラコと「わたし」とが手をつないで街を歩くシーンだけは不思議な愛らしさが漂う。その後デパートで買った白百合は、清潔でありながらかぎりなく淫靡である。
  • 蛸足配線
    @nekoai30
    2025年5月9日
    『非人』を読んだ。その場に居る全員が獣なのに、自分だけが異形の者として排斥され、しかもそれを避けようのない予め定められた事柄として十分に理解している。嫌な夢のような、妙に覚えのある感触だ。
  • 蛸足配線
    @nekoai30
    2025年4月27日
    表題作を読んだ。この作品における「パルタイ」は明確に特定の団体を指している。しかし、あらゆる組織に共同体に「パルタイ」と同一の性質は見られるであろう。集団はその構成員に対し、有形無形の内規を遵守するよう絶えず要求する。きわめて観念的に構築された信仰を維持するにも生きた体は必要である。生きた体からは逃れられない。その体は思想とは無関係に孕み、嘔吐し、排泄する。思考による整理が決して追いつけない次元に肉体は屹立する。
  • 蛸足配線
    @nekoai30
    2025年4月26日
    『蛇』を読んだ。当事者を置き去りにして周囲だけがヒートアップしていく事態は、夢にも現実にもしばしば生じる。とことん理詰めで読み解きたくなる一方、そんな小賢しい、的外れになりかねない足掻きはやめにしてイメージに脳髄を浸したいようにも思う。
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