風の港

9件の記録
- ゆ@yk912b2025年8月30日読み終わった3話目の数十年ぶりに再会する女性ふたりのお話が特に好きでした。 私はわりと空港を利用することが多いので空港の様子を思い浮かべながら、物語の世界により深く入ることができました。
- ユメ@yumeticmode2025年6月16日読み終わった心に残る一節感想空港という数多の旅人が行き交う特別な場所を舞台に、ささやかな奇跡がそっとバトンを手渡してゆくように綴られた連作短編集。村山早紀さんらしく優しい物語の世界に、心地よく身を浸して読んだ。 村山さんの作品は、物語の舞台となる場所への愛情がひしひしと伝わってくるところも好きだ。桜の季節に造花で綺麗に飾られた空港は、夜に飛行機が離着陸する灯りは美しく、そこで働く人々の矜持は凜として描かれ、登場人物たちが空港に深い思い入れを抱いているのと同様、村山さんがこの場所をいかに愛しているかが感じられる。だからこそこの物語に心を動かされるのだろう。 どのお話もとても好きなのだが、中でも空港内の書店で働く夢芽子が主役となる「それぞれの空」がいちばんのお気に入り。「本はきっと魔法でできているの。本屋さんは魔法を並べて売ってるんだわ」という言葉に深く頷く。『本が大好きな子どもはね、いつだって、本の魔法に守られているのよ。奇跡はいつだって、子どもたちのそばにあるものなの』という台詞にはぐっと込み上げるものがあった。私自身、本に守られてきた子どもだったなと思うから。
- caco@caco58841900年1月1日読み終わった⭐︎9 羽田空港を舞台にした連作短編集。 夢に破れ故郷へ戻る青年がある似顔絵師に出会う話、本が魔法だと信じる女性が働く空港の書店で不思議な出来事に出会う話、幼なじみの作家と女優が三十年以上ぶりに再会する話、そして人生を振り返る老いた奇術師の話。それぞれが独立した物語のように見えるが、実は少しずつ繋がっており、羽田空港という同じ舞台で起こっている。別々の人々の人生が交差しながら、一つの世界を形づくっているのだなぁと感じた。