肉弾

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- 村崎@mrskntk2024年9月22日圧倒的すぎる.......凄まじい迫力と冷静な視線を感じる静謐さ、このふたつがどうして同時に表現できるんだろう...私は河崎秋子さんの作品が大大大好き、人間のステータス的な付加価値を全て取っ払ったときに見える、ただの生き物としての命の価値というのをとても真摯に書いていると思います。「肉弾」は社会的自立ができていないキミヤと傍若無人な父が北海道の山奥に入る話。そこで熊と遭遇し、父が無惨に殺される場面は本当に恐ろしいのですが、同時に善悪のない熊の命のまっとうさもあって、そこから熊と人間、そしてかって人間に捨てられた犬たちが獣としてまったく対等に対峙する姿には感動すら覚えます。一頭の豚が赤ん坊を食べてしまい、その豚を殺して民家に配り歩くという昔話が序盤に出てくるのですが、その昔話が後半の展開に繋がっていくのがすごすぎました。山に残った者たちがこれからも骨や命を脈々と繋げていくのかと想像したら、自然と涙が出ました