エヴェレスト 神々の山嶺 (角川文庫)

8件の記録
- ひなたの本好き@054-10ps2025年9月22日読み終わった@ 恒久読了。 あとがきで筆者が書いている通り、ストーリーとしては極めてシンプルなものだったと思う。 それでも文庫で1,000p近い文量となっているのは、山と山に挑む人間の迫力をひたすらにこれでもかと描いているからではなかろうか。 羽生の手記然り、深町の南西壁アタックに然り、その書き込みの徹底ぶりに鳥肌が立つ。 安全な室内で読んでいるのに、自らも雪山に身を晒しているようだった。 たびたび問われる『なぜ山に登るのか』という問いは、自分がずっと抱いている『なぜ本を読むのか』という問いに通じるところがある気がしている。 作中で出てきた『人は何らかの途上にある』『山から生きて帰り、また山に戻り、それを繰り返し続ける』というある種のアンサーめいた言葉は、これからの自分の糧となるだろう。
- ひなたの本好き@054-10ps2025年9月13日読んでる@ 恒久p.893まで。 序盤の羽生の手記でも感じたが、夢枕獏は雪山での心理的極限状態を描くのが絶望的に上手い。 短い文章で畳み掛けるように登場人物の心情を吐き出させ続けるので一気に引き込まれてしまい、安全な場所で読んでいるはずのこちらまで気付けば息が止まっている。 エヴェレストのような最高峰の雪山では誰がいつ死んでもおかしくないことがここまで読んでいて嫌というほど分からされているので、羽生や深町が頂上を踏めるのか、そして生きて帰れるのかが全く読めない。すごい読書体験をしている。
- ひなたの本好き@054-10ps2025年9月10日読んでる@ 橘通りp.605まで。 声に出して読みたい日本語、『エヴェレスト南西壁冬期無酸素単独登頂』。 山を登ることの困難さがこれでもかと作中で示されているだけに、この上ないパワーワードとして読み手に迫ってくる。
- ひなたの本好き@054-10ps2025年8月29日読んでるp.224まで。 山に全てを注ぎ込むしかない羽生。それに対しての陽光のようなオーラを放つ長谷。ここまで読んできてる以上、羽生に感情移入してしまい胸が苦しくなる。山を登るとはなんと酷なことか。