役にたたない日々

4件の記録
- まめご@mmg_862025年8月26日読み終わった佐野洋子作品は『100万回生きたねこ』しか知らず、初めてエッセイを読んだ。 60代の彼女の日常が、脳内実況中継という感じの率直すぎるくらい率直な文章で綴られる。 戦前生まれの彼女がこれを書いたのは20年前、いわゆるルッキズムやジェンダーの観点からいえば今なら憚られるような表現も少なくない。 が、何もかも突き抜けていっそ爽快なほどパワフルなエッセイだった。 自らの「呆け」の兆しに怯えつつ認知症の母親を介護して、身近な人たちと遠慮なくやり取りし時に遠慮がなさすぎて後から自己嫌悪に陥りもし、突如韓流ドラマにどハマりしたことを機にテレビの向こうの男たちに次々と「でれつ」きながら、今の世に気炎を上げる。 自分の老いを実感する様はリアルで、私もいずれこうなるのだろうか、その時こんな素直で力強い「バアさん」でいられるだろうかと思う。 そしてこの日々は乳ガン治療の後転移が見つかり余命宣告を受けるまでの数年間のことだと分かり、なんて芯の通った天晴れな人だろうと唸った。 この後亡くなるまでの日々を綴ったエッセイがさらにあるらしく(その名も『死ぬ気まんまん』)、これも読んでみたい。