冬に子供が生まれる

6件の記録
-ゞ-@bunkobonsuki2026年9月26日あだ名は功罪両方の側面がある。 人が人を呼びやすくする一方、その人の人格をうやむやにしてしまう。 本作は、あだ名の「罪」を描いた小説といえよう。本を読み始めてからずっと、私は「登場人物は誰のことを語っているのだろう?」と疑心暗鬼に陥っていた。 本作にはマルユウとマルセイという二人の人物が登場する。どちらも苗字は丸田で、名前を省略してつけられたあだ名がマルユウ、マルセイなのだ。 作中ではマルユウとマルセイが区別なく使われる。マルユウのはずの人物がマルセイと呼ばれたり、逆もしかり。 作中の登場人物も、読者である私たちもどちらがどちらか分からなくなっていく。 本作の筋はこれだけではないのだが、私はこの点が非常に面白いと思った。人々が他者を語るうち、語られる側の人物像が変形していく。あだ名というよくある現象から、これだけのミステリが起きるのだ。




