俳句の世界

3件の記録
青蛙@rm7t-sit2026年3月18日読み終わった2026年読了26冊目。大変勉強になった。俳諧連歌の時代から金子兜太ら現代の俳人に至るまで、その歴史はもちろん、句誌の同人でもあったという著者の例句に対する解説がいい。 例えば芭蕉の「菊の香や奈良には古き仏たち」という句はこのように解説されていた。 ”……わたくしは毎年、十月下旬から十一月にかけて奈良を訪れるのが例であった。東大寺や二月堂はもちろん、薬師寺・唐招提寺・新薬師寺など、古香めでたき仏像を、あかず拝観して歩いたが、どの仏前にも、きまって美しい菊が飾られてあった。芭蕉のときも、きっと同じだったに相違ない。が、その情景を、客観的に写生するのだと、何か句が卑しくなる。それを胸のなかに収めて、しばらく温めておく。すると、菊の古雅な美しさ、仏像の蒼古たる高貴さだけが、ほのぼの凝集してくる。その感じを配合の技法で表現したものである。「菊の香や」であって、「菊の花」ではないところを、よく噛みしめてほしい。「香」だから、千年の昔まで心が漂ってゆくのである。”(p.164)

