銀色のステイヤー

3件の記録
- のーとみ@notomi2025年3月6日かつて読んだ河崎秋子「銀色のステイヤー」をオーディブルで。「ともぐい」とどっちを先に聴こうかと迷ったけど、やっぱり競馬小説を優先する私。タイトルがストレート過ぎるなあと思いつつ、病院に向かう寒い朝、歩きながら聴くのに生産、育成、調教の現場が主な舞台の小説はピッタリで、気がつくと生まれてたという、あのストライクイーグル(ゆうきまさみ「ジャジャ馬グルーミンUP!」)みたいな始まりから、きっちり書かれてて面白い。その上で、異形の馬が、異形のまま、競馬というゲームで遊ぶ術を覚えていく物語を書こうという、なんとも大それた試みで、だからその分、競馬小説としては物足りない部分もあるのだけど、シルバーファーンという変でパンクな馬を創造したことだけで、小説としては成功してる。ちゃんとコメディにもなってるし、競馬知らなくても面白く読めるくらい、人物造形も上手い。 うーん、しかし××賞は勝たせておくべきだった気はするなあ。そうじゃないとタイトルがネタバレになり過ぎる。そう思うと、「じゃじゃグル」の構成とレース結果の設定の上手さが際立つなあ。でも、この作品も、シルバーファーンの引退レースも、アヤやテツコのその後もちゃんと書いて、競馬への問題定義への答えと未来まで視野に入れて終わるのだから、良い競馬小説でもあると思うのだ。馬術への目配りもあって、ホース・ビジネスと、生き物としての馬と人間の関係全体を俯瞰しつつ、一頭の馬に集約させる剛腕は凄いわw あ、ファイヤーリリーをメインにした番外篇、読みたいぞー。書いてくれないかなあ。