貧しき人びと

4件の記録
- 霧@yoruto2025年7月10日読み終わった借りてきた本文p229〜、抜粋。 わたしは憂鬱な気分で家へ帰ると、テーブルに腰をおろし、お湯を沸かして、お茶を一杯のもうと用意していました。ふと見ると、ここの貧乏な間借人のゴルシコーフが部屋の中へ入ってくるじゃありませんか。わたしはけさのうちから気づいていたのですが、ゴルシコーフは下宿人のところを方々訪ねまわって、わたしのところにも寄ろうとしていたのです。ついでにいっておきますが、あの一家の暮らしむきはわたしのところなんかと比べものにならないほどひどいのです。(中略)彼はすみませんと、永いことあやまっていましたが、それでもコップを取りあげました。砂糖をいれずに飲もうとするので、砂糖をいれなくちゃとすすめますと、またすみませんとあやまるのです。永いこと押問答して、辞退したあげく、ようやく一番小さな砂糖のかけらを自分のコップに入れて、とっても甘いですね、といいはるのです。ねえ、貧乏というものはこんなにまで人間を卑屈にするものなんですよ!