夜になるまえに―ある亡命者の回想

3件の記録
- DN/HP@DN_HP2025年10月6日わたしがノーベル文学賞と聞いて思い出すのはアレナスのこの発言。 「今世紀の最もよく知られた知的不正の例の一つがホルへ・ルイス・ボルヘスであり、単に政治的姿勢のせいでボルヘスは組織的にノーベル文学賞を阻止されたのだ。ボルヘスは今世紀の最も重要なラテンアメリカ作家の一人である。たぶんいちばん重要な作家である。だが、ノーベル賞はフォークナの模倣、カストロの個人的な友人、生まれながらの日和見主義者であるガブリエル・ガルシア゠マルケスに与えられた。その作品はいくつか美点がないわけではないが、安物の人民主義が浸透しており、忘却の内に死んだり軽視されたりしてきた偉大な作家たちの高みには達していない。」
- DN/HP@DN_HP2025年9月17日夏は自伝を読みたくなる。いつからか毎年そんなことを思っていたのだった、と寝苦しかった夜に思い出して、ニューヨークで書かれた2冊の傑作自伝を取り出しておく。明後日から涼しくなるみたいな予報だけれど、明日はまだ猛暑みたい。の1冊目。
- DN/HP@DN_HP2025年9月17日「追放者というのは恋人を失くし、新たに出会う人の顔に自分が好きだった人の面影を探し、結局は自分をあぎむくことで、それを見つけたと思う、そんなタイプの人間である。一九八〇年にここニューヨークに来たとき、ぼくはそんな顔を見つけようと思った。町はぼくを包み込んでくれた。全盛期のハバナに着いたと思った。広い歩道に素晴らしい劇場、見事に機能している交通網、あらゆるタイプの人々、ありとあらゆる言葉を話し、いきいきと通りを行く人たちの物の見方。ニューヨークに着いたとき、ぼくは自分が異邦人であるとは思わなかった。着いたその晩に町を歩きはじめた。別の人間、別の人生のときにこの町で暮らしたことがあるように思えた。」 アレナス・イン・ニューヨーク。