ずっとあった店 スナック屋台おふくろ編
6件の記録
勝村巌@katsumura2026年5月10日読み終わった新進の1人出版社、ことさら出版が酒と徘徊ライターのスズキナオとタッグを組んで出版した、ロードサイドの老舗屋台の店主へのロングインタビュー。 ことさら出版より数年後に発刊予定の『ずっとあった店』の一章として編まれるものの分冊版とのこと。 こういうスタイルの出版もありますね。自力連載みたいな。ZINEと出版の間を縫うような、1人出版社のフットワークの軽さを羨ましくも思う。やはり、小冊子でもISBNとって出版することは大切。それがあるから、ここにも感想が書けるわけだし。 2024年11月30日に50年の歴史を閉じた高知県高知市の屋台、スナック屋台おふくろの店主、シヅ子さん(鹿児島生まれ、取材時は84歳)へのロングインタビュー。 市井の人に目を向けて、そこに深く入り込む手法は民俗学的な部分があり、その人ならず土地の記憶とも結びついている。 いわゆる民俗学的な社会文化人類学とも言えるフィールドワークのような内容で大変に興味深かった。 2024年閉店で50年間の歴史があるとすると、始まりは1970年代後半だ。日本の高度経済成長期の流れ、バブル期などを経て、コロナをくぐり抜けた時代の生き証人としてのシヅ子さんの言葉にはさまざまな文脈がやどる。 80年代、90年代のお客で賑わった時代の話には隔世の感があるが、それでも常連客の憩いの場所ではあることだし、地元の人々との交流が挟まれるテキストには温かいものを感じる。 またシヅ子さんは真言宗を信仰している。前世を意識しながら生き、高野山にも足を運んでいるとか、室蘭までお坊さんに会いに行くなど、信仰に対してはキチンと向き合って生活している。 そういうところが常連とのコミュニケーションにも生きているのであろう。 大変に素晴らしいインタビューand記録と思った。類書を上げるのはフェアじゃないかもしれないが、橋本倫史の『ドライブイン探訪』などがお好きな方には特におすすめである。また、民俗学で言うと宮本常一の『忘れられた日本人』などがお好きな方は現代的な失われつつ昭和のフィールドワークとして楽しく読めるに違いない。 サ上とロ吉のWONDER WHEELを聴きながら。

久保みのり|書店よむにわ@kubomisan2026年1月21日読み終わった人間の欲は地球を突き抜けとる。たったこれだけの体やのにね。欲の深さは際限がないね。(p.43) 毎日を必死に生きている人の言葉にハッとすることがある。この本は、まさにそういう方にインタビューした本だ。夏を日除のベニヤ板と蚊取り線香で乗り切っているシヅ子さんの地球温暖化に対する言葉がとてもリアル。タイトルの「ずっとあった」にことさら出版さんが込めた想いも良かったな。








