同じ月を見あげて

同じ月を見あげて
同じ月を見あげて
新澤克憲
道和書院
2024年4月26日
4件の記録
  • こんなに魅力的な本も、少ないと思います。つまり、1.人間を見つめていること、2.描写が的確なこと、3.ユーモアに富んでいること、4.嘘が少ないこと、のこれらであります。 本書は、精神障害者とb型作業所施設長の触れ合いが、中心です。筆者の新澤さんは、良い意味でアマチュア的であり、要所はプロとして振る舞うことのできる、バランスの取れた方のようです。 本書の要点は、何よりも、精神障害者が毎日を送る上での知恵が、惜しげなく描かれている所に、あると思います。簡単に言えば、精神障害者が、己や社会とどう向き合って生きているか、これを体感するには、もってこいの書物だと言えると思います。 つまり、彼らは、彼らの奥に人間の知恵を隠しています。「幻聴妄想カルタ」は、その知恵の最もピュアな発露だと思います。簡単に言えば、人間は狂気(決定的に誤った認識)と共に生きることが、最も安全なのです。私は、狂気こそが私たちのふるさとだと思います。精神障害者は狂気と触れ合いながら生きています。私たちも、私たちの半身に埋め込まれた狂気を、体に受け止めることが必要であるのでは、ないでしょうか? 私は、この本の読者が精神病になった方がいい、と言いたいのではありません。精神疾患に罹ったら、医者に掛かることを、薬物治療にかかることを勧めるものであります。けれど、私たち読者一人ひとりの中に眠っている狂気を慈しむことも、勧めるものでもあります。 本書を読み、登場する障がい者と、そして忘れてはならない筆者である新澤さんの、いくつかの狂気に身を浸すことで、失われた私たちのカケラにまどろみのなかで再会することを、私は勧めるものであります。
  • 文日和
    文日和
    @fumibiyori
    2025年3月7日
  • ひび
    ひび
    @bobaoooooz
    2025年1月31日
  • リオ
    @may--5
    2024年8月1日
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