フランクフルト学派

フランクフルト学派
フランクフルト学派
細見和之
中央公論新社
2014年10月1日
2件の記録
  • 著者が兼業的詩人であり、腐心した結果、「です、ます」調にしたとあって、かなり読みやすく理解し易い文章だったと思う。 そもそも、ホネット著『承認をめぐる闘争』(法政大学出版局刊)の前段として読み進めていたが、フランクフルト学派についての理解を進めるうち、ホルクハイマー/アドルノ著『啓蒙の弁証法』(岩波文庫)やハーバーマス著『コミュニケイション的行為の理論』(未來社刊)を読む必要のあることが分かった。 恥ずかしながら、手当たり次第に読んで来た半生だった。 故に思想史的な流れを逸した、それはつまり雑学的な知識を仕入れる行為に堕した読書だったように思う。 記憶への定着が乏しいのは、凡そこの連綿とした流れを概観する視座を体得していなかったからに違いない。 内容について、記せば、詩人の仕事を僕の駄文でけがすようにも思えるからしないことにする。 読者諸賢が興味をお持ちであれば、是非、一読を勧める。 今後、この手の読書を積み上げるにあたり、新しい感覚を得ることができたことは、得難い収穫だった。
  • 愛聴しているラジオの書評番組でホネット著『承認をめぐる闘争』(法政大学出版局刊)を勧めていた。 哲学書を読むとき、どのような時流に据えられ、意味が湧出した一冊なのか、ということが大切だと思うくらいには読書経験を積んで来た。 文明の力に頼り、ホネットはフランクフルト学派の文脈にあることが分かった。 それ故のこの本である。 まだ、ホネットは出て来ないが、今後、登場はあるようだ。 ベンヤミンがスペインの山村で自死し、ホルクハイマーとアドルノが亡命先のアメリカで躍動している。 一度は名前を聞いたことのある思想家が、本の中で言葉を発している。 目次を見るに、サイードも出て来るようだ。 ほとんど手当たり次第に読み散らかして来た我が読書ライフは、話題にされた時代を俯瞰する読書を蔑ろにしてはいなかったか。 この読書が効果的であれば、今後の読書の進め方に新たな選択肢を付加することになる。 新書も馬鹿にできないと思ったのは、新書を盛んに勧める文芸評論家の発言を動画サイトで観たからだ。 読了報告には、このあと、新書が続くことが見込まれる。
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