あのころの僕は

4件の記録
- もん@_mom_n2025年3月23日読み終わった心に残る一節読書日記@ 図書館小池水音さん、やっぱりすごく好きだなあとしみじみ。 p.92 記憶は実のところ脆く、踏みこむたびに景色の一部は曖昧に薄らいだり、反対に無用に鮮明になったりする。みたくもないものに目を瞑り、みたいものだけをみてしまう。それが大切な記憶を少しずつ損ないつづけることだと、頭のどこかではわかっている。 p.122 布団の暗闇のなかで僕はなるべくちいさくなろうとした。からだをかたく縮こめることで、ハミガキのチューブみたいにしてじぶんの一番深い部分にあるものまでそとに吐き出してしまいたかった。空っぽになりたかった。約束も、思い出も、あのすばらしいサンドイッチでさえも全部手放してしまいたいとおもった。だから涙も鼻水もよだれも、もっと出ろ、もっと出ろと唱えた。汚らしく垂れ流したまま、布団に染みこませていった。