根っからの悪人っているの?: 被害と加害のあいだ シリーズ「あいだで考える」

7件の記録
- amy@note_15812025年3月8日かつて読んだ感想著者と10 代の若者たちが「サークル(円座になって自らを語りあう対話)」を行った記録。元受刑者の2 人や、犯罪被害の当事者をゲストに迎え、「被害と加害のあいだ」をテーマに語りあった記録を残した本 受刑者も被害者もなかなか話を聞く機会などないし、接点がないぶんどうしても自分の世界の外にいる存在として考えてしまう。それは良くないんではないかと思っていて、少しでもそういう人たちと自分にある距離を近くするために読んだ 受刑者は「TC(回復共同体)」という対話による更生プログラムを刑務所で受けてきた経験があり、それらを経て刑務所はどういうところか、価値観の変容や出所してからどう生きていきたいかと考えているかを話していた 被害者の方は西鉄バスジャック事件の被害者の方だった。当時17歳の少年がバスジャックを起こして客に切りつけたという事件である 受刑者と被害者、両方の言葉を読んでわかったことは、犯罪の加害者にも被害者にも更生や支援のサポートがまったく足りていないということだった。受刑者の二人が「TC(回復共同体)」というプログラムを受けられたのもの、運が良かったからで「TC(回復共同体)」をやっているところは日本の刑務所で一箇所だけである。また被害者支援の制度も充分ではない何度も被害者の立場として対話に参加した方は言っている 自分は奇跡的に周囲の人たちの善意や環境に恵まれたけれど、みんながそうではない。しっかりと公的なサポートを整えるべきたど言っていることを書いていた 書かれていることは最もだと思う。被害者の傷を癒やすための制度も加害者が自分が加害者になってしまった理由や原因を知ることもできない。それは加害者も被害者も不幸にしかならないと思う 加害者と被害者側の双方の繊細でよく考えられた。そこにたどり着くまでの苦悩や葛藤を感じられる言葉を読めてよかったと思う。広く読まれてほしい