思い出トランプ(新潮文庫)

5件の記録
- 大根餅@daikonmochi2025年10月10日読み終わった「時子は気に入らない色や形が自分の視野にあると、落ち着かない性分だった。(中略)時子はりんごをひとつ取り、皮をむきはじめた。皮は、細く長く同じ太さにむいて、途中で切れないようにするのがいつものやり方である。ナイフは、外国旅行の時に骨董屋で買った古い銀製のものである。 だが、こんなことが一体、何だというのだろう。」 クーーーッ!!こ、これを自分のエッセイで、人生の選択肢に迷った時に 「ほどほどのもので我慢することもやめました。三カ月間のサラリーをたった一枚のアメリカ製の水着に替えたのもこの頃です。」 と書いていた向田邦子氏が、書くんだ……!!と痺れた。 今まで軽快な語り口調のエッセイばかり読んでいて、今回初めて物語を読んだけど、その渦まくドス黒さに衝撃を受けた。天才の文章ってこう言う事なんだ…!!!