NHK「100分de名著」ブックス 三木清 人生論ノート

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- おかわり@Okawari2025年8月15日読み終わった大学在学時に読んであまりの難解さに挫折した『人生論ノート』の解説書がNHK出版から出ていたので購入してみました。 かつて『人生論ノート』を読んでいる時は何が何だかでわからなかったけれど、かなり用語の整理が必要だと思いました。『人生論ノート』では、現在とは少し違った言葉の意味で使われている用語がある。 例えば「偽善」は『人生論ノート』において、「他社の評価や社会的な評判だけを意識して行動を選択し、所属している組織や地域社会から求められた役割だけを果たそうとする(p.72)」ことだとあります。これは恐らく軍国主義化する日本において、それに順応・共鳴するような当時の国民を指したのだと思います。ただ、現代で「やらない善よりやる偽善」というような言葉が使われる時、ここでイメージされる「偽善」は少し違った意味として現れていると思います。ここのズレがある場合は適宜修正しながら読み進める必要がありそうでした。 軍国主義として暴走しゆく国家・国民を冷ややかに見つめた三木清の視点に立って読むことで『人生論ノート』はその真意が汲み取れるのだということを理解。 好きな部分は「幸福」と「成功」についての三木清の持論の箇所でした。