
にっかり青江
@faizRDM
2026年8月6日
そして誰もゆとらなくなった
朝井リョウ
読み終わった
今回も期待を裏切らない読みやすさで、最初から最後まで心から楽しむことができた。 過去作と比較すると、ポッドキャストなどで大まかな輪郭を知っていたエピソードも多く、少し物足りなさを覚える部分もあった。それでもなお、彼の日常の切り取り方の鮮やかさは群を抜いて面白い。
彼の体質上どうしても下ネタの比率は高いため、そうした話題が苦手な人には少しハードルが高いかもしれない。だが、そこさえクリアできれば、思わず声を出して笑ってしまうこと請け合いだ。 また、非常時の心理描写は実にすばらしく、自分も昔ストレスにまみれていた頃に似たような体質に陥った経験があったため、共感できる部分が多々あった。
講演会の台本を几帳面に作り込む姿に彼の誠実な人となりが知れて感心するも、途中から「なぜそっちの方向に全力疾走してしまうのか」と、思わずツッコミを入れたくなる。この絶妙な緩急に、頬が緩みっぱなしだった。「これほど優秀な人でも、時にはこんなにあっさり道を踏み外してしまうのだな」となんだか妙に安心させられたりもする。
そうかと思えば、はっとさせられるような核心を突いた視点が飛び出すから侮れない。彼の唯一無二の体験を本を通じて追体験していくうちに、読書でしか得られない心の栄養をしっかりと補給できたような気がしてならない。
三部作としての完結は寂しいが、またいつか、面白い日常のネタが溜まった頃にふとエッセイを執筆してくれることを、切に願わずにはいられない。
最後に、いま加藤千恵さんとやられてるポッドキャスト、「信頼できない語り手」がお勧め。Apple podcastでも、Spotifyでも聞けるはずなので聞ける方はぜひ!









