白玉庵 "文化の脱走兵" 2026年8月30日

白玉庵
白玉庵
@shfttg
2026年8月30日
文化の脱走兵
文化の脱走兵
奈倉有里
邪悪な状況下にあって、善良であることを選んでいこう、というのが「脱走兵」という言葉に集約されていることが最後まで読んで腑に落ちた。ロシア語の翻訳者なので、国家による邪悪さが非常にわかりやすく提示される日々が続き、友人知人も影響を免れ得ない。でもそのなかで善くあることを手放さない。こんな光り輝くような文があちらこちらにある。 体験したことの記憶をひっぱりだしあって、その人がなにを感じていたのかを共有するとき、はじめてその体験が完全なものになっていくあの喜びって、なんていうんだろう。認識を新たにしていくことで自分の中身が少しずつ変わっていくような感覚は、いつ体験しても新鮮な驚きに満ちている。 p50 とは言えわたしが一番好きなのは「猫背の翼」。誤植で猫と鯨が入れ替わってしまって、小さな鯨が夜の屋根の上でくつろぎ、大きな猫がときどき海面に出てきて潮を吹く。こんな愉快な話の中にも、タルコフスキーの『鏡』で当時の誤植の恐怖をさらっと説明されていて油断ならないのだが。 スズキナオさん的な、タイトルを見れば何が書かれているのかわかる(そして自分が想像したものよりも何倍もよいところに辿り着ける)本と、この本のようにまずは手に取って読み終わらないとタイトルの意図するところがわからない本(そして全く予想もつかなかったところから、安心できるところに着地する)がある。後者は、信頼できる誰かに勧めてもらえれば読むんだけど、それがないとずっと、「何だか人気みたいだけど…」と横目で通り過ぎてしまう。なので何度でもいうけど(コミさんっぽい)、Readsでみなさんが率直なコメントを残してくれるのがすごく助けになるのだ。それがありがたいので、自分も、特に良かった本はちゃんと感想を書いて、いつか誰かのきっかけになればいいなと思う。
もぐもぐ羊
もぐもぐ羊
@sleep_sheep
もし『文化の脱走兵』が気に入ったら『背表紙の学校』もきっとお好きだと思います! 私はちびちび読んでいるのでまだ半ばなのですが、すごく気に入っていつまでも読み終わりたくない気持ちで本棚の取り出しやすいところに背表紙が見えるようにさしてあります。
白玉庵
白玉庵
@shfttg
ありがとうございます!信頼できる読み手もぐもぐ羊さん!読みます読みます。 『文化の脱走兵』も一気によんでしまったのですが、本来ゆっくり読むべきだったわとちょっと反省してたんです。
もぐもぐ羊
もぐもぐ羊
@sleep_sheep
信頼してもらえて光栄です! 一気に読むのもったいないけど、読み心地がよくてついつい読んでしまうタイプの本なので一気に読んでしまったのもわかる気がします! 目次でタイトルを読むだけでもワクワクしますよね。 たまに取りだして好きなところ読んだりしてます。
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