
ジジ📖
@gg_books
2025年5月1日

墳墓記
高村薫
読み終わった
借りてきた
死に瀕した男の夢想がわたしの思考の海に溶けてゆく。どっぷりと古典作品を読み進めた時、溜息のつく暇すらない幽玄な能楽を観た時、琴線に触れる音楽を身体で感じたとき、わたしも白昼夢のような夢想をする時があるから。コンサート会場にいるはずなのに、北欧の濃い緑の森を彷徨っていたり、入水した古の人と共に冷たい水をもがいていたり。誰そ彼どき、本の中から現れたあなたがこちらの目を覗き込んでいたり。
光る君や定家、鎌倉武士や幽玄の住人の語りと共に何処かへ漂ってゆくようだった。





