
ゆい奈
@tu1_book
2025年7月29日

いい子のあくび
高瀬隼子
読み終わった
生きていると割に合わないことのほうが多い。例えば初対面のひとに「人見知りです」と切り出された場合、私は自然な流れで話を振っていく側になることを強いられる。そのたびに、ずるい、と思う。たったそれだけで、と思う人もいるかもしれない。だけど割に合わないとおもってしまうのだから、それはもうそうでしかなく、それで私も、この主人公のようにノートに書いている。絶対に口にはだなさい。態度にもださない。消費してたまるかとおもう。だすことによって、なかったことになんてしてやらない。誰にもいわずに呪いとなって、その人が不幸になりますようにと、息をするように願う。これも、わたしの一部。
p38「忘れない、と思う。わたしは絶対に忘れない。それがあったことも、その時に発生した怒りも不快も、時間が経ったからって許さない。」
p110「電柱の下、植込みの間に嘔吐の跡がある。投げ捨てられてひしゃげたビール缶が転がっている。泥水を吸ってコンクリートにはりついているハンカチは誰にも拾われない。こんなところで、丁寧なことばだけで、どうやって生きていけというの。」
(図書館本なので引用メモをたくさんしておく)
p21「あ、消費されてる、って思う。わたしだけのものだったはずの、わたしのストレスや苦労や不満が、教育のために消費されていく。」
p39「ごめんにはごめん以外ぶつけていいものがないから仕方ない。申し訳なさそうな目と眉と、口元だけは微笑ませた顔を作って見せ、数秒間無意味に頷き、その頭の上下運動で誤魔化しながらパソコンに視線を戻していく。」
p56「いつもいつも同じことができるわけじゃない。いつも同じルールで、同じ物差しを持って世界と対峙できる人になりたいけどなれない。」
p59「心は、どうしてこんなにばらばらなんだろう。ばらばらで、全部が全部本当であるために、引き裂かれるというよりは、元々ばらばらだったものを集めてきて、心のかたちに並べたみたいだった。」
p73「にぶさと優しさはすこしだけ似ている。ばかが卑怯になれなのと同じ感度で。」
p115「自分が傷つけられたぶん、囚われたぶん、取られたぶん、削られたぶん、薄められたぶん。同じだけ他人にも、と思う。だっておかしい。割に合わない。」
p116「前を向いてまっすぐ歩く人だけが、よけていくべきなんだろうか。見えている人が、分かっている人が、できる人が、そうしなきゃいけないんだろうか。」
高瀬さんコンプリート














ゆい奈
@tu1_book
まあ〜!うれしい!いい子であろうとする私も、不幸になりますようにと願う私も、そのどちらも私なんだよ〜って認めてもらえた気持ち!わたしも図書館で借りたんだけど、買おうかな〜とおもってる!
