Atsushi Ito
@ukajun
落合が監督在任中であったとき、私は日本のプロ野球に疎くなり始めていた。メジャーで結果を出し、WBCでは絶対的な存在感を示すイチローには夢中であったものの、いよいよセリーグもパリーグも大して自分にとっては関心がないものになっていた。それでも日本シリーズ完全試合目前の山井降板事件や集客難に喘ぐ球団がその責任を落合の野球にあることとしたことは理解していたし、メディアによって報じられることに同調して、あの監督のもとでプレーする選手たちは不幸だろうなぁとその采配全般を軽蔑していたように思う。
あれから僕も大袈裟に言えるものでない程度ではあるが、決断を迫られたり、あるいはそれこそが職務として求められる立場を経験した。理解されることよりも孤独を選ぶような生き方をしているよなぁとぼんやり思うこともある。
あの頃、ナイター中継に写ったまったく表情を欠いた落合には、目を背けたくなるような恐ろしさと、孤独を潜ませた佇まいに共感するような、複雑な気持ちを抱いいている。自分の中にあるオチアイ的なるものをもゆるしてやりたくて、この本を手に取ったのかもしれない。
ひとから好かれたい気分はたくさんあるが、一方でまぁ他人から嫌われたって別にいいよと冷めた自分も大事にしていたりする。
ところでだ。お店に『嫌われた監督』の入荷がなかったのでトーネッツ(書籍発注システム)をタタいておいたが、いまだ届かない。12月になったが、お店にはオチアイは不在のままである。
