
きん
@paraboots
2025年9月12日

マザーアウトロウ
金原ひとみ
読み終わった
初の金原ひとみさんの作品だった。野村雅夫さんのラジオに金原さんがゲスト出演されてて、その時紹介されていたのがこの本。
世にいう嫁姑の関係性を、いい意味で壊してくる試みがあった。「俺たちマブになろうぜ」と、初めて会ったその日、一緒に飲んで歌ったカラオケボックスで、息子の嫁の波那に伝える義母の張子。嫁姑の関係性を超えて一人の人として、個対個でありたいと願う張子と、それに同調する波那のシスターフッドが描かれる。
はちゃめちゃな張子の旋風に巻き込まれながら、次第に波那の気持ちは移り変わる。
張子の息子であり、波那の夫である蹴人との関係性も、次第に深まってゆく。
波那の心が解きほぐされ、蹴人との関係が次第に深くなっていく様は、なんとも刹那的でもあり、愛おしく感じた。
時々もたらす張子の旋風に、ハラハラドキドキさせるような展開にこれからなるのかと思いきや、なんとなく安直にそうはならない様は、いち読者として、現実的な思考をくすぐられる気持ちもあった。
どんな関係性においても人は、1人対1人なんだなと、改めて考えさせられた。それぞれの属性一つ一つに対してフォーカスすることではなくて、個対個、ということなんだと。真面目に、堅苦しく考えればだけどね。
追伸
少し前に読んだババヤガの夜とは違い、割と登場人物それぞれの内面的な掘り下げというか描写がしっかり描かれているあたりは読み応えがあったように思う。ババヤガがスパークリングワインなら、マザーアウトローはどっしりとしたコクのある赤ワイン。そんなかんじだった。












きん
@paraboots
はなさん、こんばんは。好みやタイミングはあるかと思いますが、機会があればぜひぜひ。読む人一人一人のライフステージや置かれてる環境にもよりますが、今どきの読み物だと感じさせてくれる一冊でした☺️