
うゆ
@otameshi_830
2025年10月4日

新訳 ジキル博士とハイド氏
スティーヴンソン,
田内志文
読み終わった
ジキルがハイドを恐れたのはそこに愉悦の感情があったからなのだろう。(誰しもムカッときて誰かをぶん殴りたくなることくらいある。そこでぶん殴る自分とそれでもぶん殴らない自分に分かたれたとして、二者の魂が繋がっていれば、殴った時の一瞬のスカッとした感じを味わうことになる。(ただし殴った方はただそうしたかったからそうしただけでそのようなある種喜びの感情もないのかも?)。)
ジキルとハイドは善と悪というよりは自律と自由なのかもしれない。
スティーヴンソンはそんな自分の悪魔的な部分、あるいはなにものにも制御されない自分を、筆の力によってハイド氏としてロンドンの街に放つことで、なにがしかの平衡を保ったのかも…というのは訳者あとがきを含めての感想。
今回初読とはいえさすがにどういう話かは知っていたのでゆっくりと描写を愉しみながら読むことができたのは良かった。筋が気になるとそっちに集中力割かれちゃうから…
何をしていいか、ではなく、何をしてはいけないか、それが大事だと最近よく思うようになった。「自由」という言葉を履き違えちゃいけない。やってはいけないことを神や国家に頼らず自分で考え自分に課すこと。それは実現不可能なほどに難しい。
…と少し小説から離れるかもしれないが読みながら改めて思ってました。



