
ほんのうに
@bk_urchin
2025年11月12日

生殖記
朝井リョウ
読み終わった
一気読みした。
共同体にバレてはいけないという本能的恐怖も、匂いが漏れないように慎重に自分を表現するうちに何が自分の本音なのか分からなくなる感覚も、初めて同じ種類の人に会ったときに、目の前の世界が開けて自分の発する言葉と内面が一致する感覚も、全部が高い解像度で記されていた。
会社という共同体に対して出稼ぎ感覚なのは尚成と同じで、うまくやって給料がもらい続けられればそれでいいと思っている。そして、出稼ぎ感覚の自分よりパフォーマンスが劣る人に対する苛立ちも正直あって、これが何なのか今まで分からなかったけど、共同体を縮小させる存在に対する本能的嫌悪感だとすると納得できる。それって出稼ぎといいながらも結局共同体の一員として役割に飲み込まれているということだ。人間すぎる〜!
尚成と颯が異なるように、カテゴライズで括れることなんて実はないのだと思う。最近出会った友達はすごく似てるけど明確に違う部分もあって、それがとてもおもしろい。他者(それも一つの共同体なんだろうか)に本音を話せると、自分の輪郭が見えてくるような感覚がある。それは自分の"しっくり"を見つけることに繋がるし、ひいては幸福感にも繋がる気がする。
マッチポンプに夢中になる尚成に恐怖を感じつつ、きみがマッチポンプしている間に、おれはおれの方法で、おれが大事にしたい共同体の中で幸せになってやるからね!って、宣言したくなるような不思議な読後感だった。








酸菜魚
@suancaiyu
話すことで他者との違いが見えてきて自分の輪郭がしっかりしていくっていうのわかる。確かにそうだ。
普段は見えない、意識していない自分の背中の形を、他人になぞってもらうことで認識していくような。
心を許してない人には背中なんて触らせないけど、気心知れた仲間に温かな手を当ててもらうのは安心するね。
