
たま子
@tama_co_co
2025年3月2日

白鯨 下
メルヴィル,
八木敏雄
読書日記
コラージュ
とにかく情報量の多さにぬおおおと興奮しながら読んでいた。まさに「知的ごった煮」の読みごたえ。日本に黒船がくる2年前に刊行され「日本の開国は目前にせまっている」と文中で予言までしていたのにはたまげた……
だ、け、ど、途中しっかり挫けそうにもなる。癖強な登場人物の繰り広げる荒々しくも愉快な物語に並行して、鯨の博物学がはさまれ(むしろ体感ではそっちがメイン)、文体が突然戯曲っぽくなったり、宗教や法律について語ったかと思えば、白という色の恐怖について考える、などなど読者に読みやすくしようなどという想いを微塵も感じないところがよい。
物語パートにいつもどるの……と一時積んでしまうも、数ヶ月経っても頭の隅で続きが気になっている自分がいて、結局吸い寄せられるようにまた読みはじめ、途切れても忘れがたくもどってしまう物語のパワーに引っ張られるようにして読み終えた。読んでいる間は捕鯨についてやけに詳しくなり、読み終えて1ヶ月後にはほとんどわすれてしまった。
「やんぬるかな!」
『白鯨』きっかけで音読のたのしさに目覚め、夜な夜な声に出してひとり何役もやりながら読むというのをしていて、声に出してみると会話のリズムがよくわかるし、その後ふつうに読んでいても、言葉が躍動している感じがする。下手な朗読を聞かされる猫はとても迷惑そうだったけど。
おそらく通して再読することはないでしょう。だけど、何度だって思い出すことになるでしょう。わたしにとってはそんな本になった。これだから古典に挑むのはたのしい。












