白鯨 下

14件の記録
- 喬林@unnatural_672025年7月13日読み終わった元々有川先生の『空の中』に出てきたことでタイトルだけは知っていて、いつか読んでみたいと思ってた作品。途中で心が折れるという噂も聞いていたが無事読破した!!さぞ翻訳者の語彙力が試される原文なんだろうと思わずにはいられない比喩の山、知らない言葉、馴染みのない言い回し、芝居がかりすぎている口調、膨大な鯨知識等々、普段読まないタイプの文章でかえって面白く読めた。わからないところはサ~ッと流し読みしたし……笑 「やんぬるかな!」とかちょっと使ってみたいまである(「もうおしまいだ!」の意)。全然ギャグ調ではないのにクスッと笑ってしまう、みたいな表現が多くて、自分もこういう文章が書きたいんだよな~と思いました。冲方丁の文の面白さもこのタイプに似てるかも。翻訳者と自分の相性が良くて最後まで読めた感じは結構ある。 個人的に一番面白かったのはイシュメールとクイークェグの出会いのあたり。最後モービィ・ディックとの死闘の末刺し違えて両者死す──的な展開かと勝手に予想していたので、エイハブは食われるとかじゃなく縄が絡んで海ポチャ、船は穴あけられて爆速で撃沈、白鯨は死なずにどこかへ消える、というエンドでつい「エッこれで終わり!?」と声に出してしまった。ここまでがどえらいボリュームだっただけに、あっけない幕引きで肩透かしを食らったような気分。哀れエイハブ……ド狂い船長……。イシュメールが心の友クイークェグ用の棺桶でできた救命ブイのおかげで助かったというのはグッときました。ところで巻頭の登場人物紹介くん、イシュメール以外のキャラは全滅しますって重大なネタバレかましてきたこと許さないよ!!!!!!!!!!!
- たま子@tama_co_co2025年3月2日読書日記コラージュとにかく情報量の多さにぬおおおと興奮しながら読んでいた。まさに「知的ごった煮」の読みごたえ。日本に黒船がくる2年前に刊行され「日本の開国は目前にせまっている」と文中で予言までしていたのにはたまげた…… だ、け、ど、途中しっかり挫けそうにもなる。癖強な登場人物の繰り広げる荒々しくも愉快な物語に並行して、鯨の博物学がはさまれ(むしろ体感ではそっちがメイン)、文体が突然戯曲っぽくなったり、宗教や法律について語ったかと思えば、白という色の恐怖について考える、などなど読者に読みやすくしようなどという想いを微塵も感じないところがよい。 物語パートにいつもどるの……と一時積んでしまうも、数ヶ月経っても頭の隅で続きが気になっている自分がいて、結局吸い寄せられるようにまた読みはじめ、途切れても忘れがたくもどってしまう物語のパワーに引っ張られるようにして読み終えた。読んでいる間は捕鯨についてやけに詳しくなり、読み終えて1ヶ月後にはほとんどわすれてしまった。 「やんぬるかな!」 『白鯨』きっかけで音読のたのしさに目覚め、夜な夜な声に出してひとり何役もやりながら読むというのをしていて、声に出してみると会話のリズムがよくわかるし、その後ふつうに読んでいても、言葉が躍動している感じがする。下手な朗読を聞かされる猫はとても迷惑そうだったけど。 おそらく通して再読することはないでしょう。だけど、何度だって思い出すことになるでしょう。わたしにとってはそんな本になった。これだから古典に挑むのはたのしい。
- たま子@tama_co_co2025年1月28日読んでる@ 自宅下巻の後半は怒涛の会話劇。おもしろいいい。試しに朗読してみたらきもちがよくて、ひとり何役もやりながら読んでいる。声に出してみると会話のリズムの良さがよくわかるし、その後ふつうに読んでいても、言葉が躍動している感じがする。下手な朗読を聞かされる猫はとても迷惑そう。
- RIYO BOOKS@riyo_books2025年1月25日読み終わった見よ、神々がすべて善で、人間がすべて悪だと信ずる者たちよ。おお、見るがよい、全能の神々が悩める人間を忘却しているというのに、人間は、白痴なりとはいえ、またなすべきことを知らぬとはいえ、なおほのぼのとした慈愛と感謝の気持にみちあふれているのだ。わしは皇帝の手をとったこともあるが、おぬしの黒い手をとって引いてゆくことのほうがはるかに誇らしく思うぞ!
- たま子@tama_co_co2025年1月25日読んでる@ 自宅「ところで鯨の棲息環境の現状や解剖学的特質のあらかたについてはすでにのべたので、あますところは鯨を考古学的、化石学的、はたまた大洪水以前の見地から拡大してみせることだけである。」と、第103章 鯨の骸骨の計測を語り終えたあたりで言っていて、もうそろそろ物語にもどってぇ……と思いながら読んでいる。いやはや超大作。
- たま子@tama_co_co2025年1月22日まだ読んでる@ 自宅下巻に入ったあたりで数ヶ月積んでいたけど、最近また読む気が起き、読みはじめるとするする読める。今が読み時らしい。ピークオッド号の船員たちは鯨脳油の凝脂を手でほぐすのに安らぎを感じていて、「それはまごうかたなき春のスミレの香りがして、夢かうつつか、しばしわたしは麝香かおる野辺にいる心地がした」と言っているけど、内心ほんと??と疑っていて、調べると本当らしかった。しかも「竜涎香」という、腐った悪臭漂う鯨の身体から、かぐわしい香りに熟成された珍品が採れるという話も本当らしかった。捕鯨についてやけに詳しくなっていく。