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@choccy1526
  • 2026年10月14日
    無伴奏ソナタ新訳版
    無伴奏ソナタ新訳版
    題名から上品な小説を想像していたところ、意外にも死や肉体の損傷への関心を感じさせる短編が多くて戸惑った。しかしそういうやや残酷な描写をあえて選ぶことで人間の生を描こうとしているような感じもある。 一番好きなのは『解放の時』。自宅に帰ると書斎に死体入りの棺桶が届いている、という状況設定が良い。子どものことを妻に尋ねたら「うちには子供なんていないわ」と言われるなど少々不気味な展開で、主人公の記憶や認識がおかしくなっていっているのか、異なる世界線が実際に入り混じっているのか、説明はなされない。いろんな読み方があると思うが、死を前にして、実際に生きた人生とありえたかもしれない別の人生との境目が失われていく、と読むとすると、生きなかった人生への執着からの解放、そして傷を抱えた妻に対する愛情(故の重荷)からの解放、が、ラストシーンの安息に描かれてるといえるのかなと感じた。 ほかに、『四階共用トイレの悪夢』はなんとも最悪な話だが読むうちに背景が見えカタルシスがあったのと、『タイムリッド』がこれまた悪趣味だけど興味深くて好きだった。『王の食肉』『磁器のサラマンダー』は寓話感が強すぎで好みではなかった。 それから『エンダーのゲーム』は著者の代表作とされているみたいだけど、この人の魅力はこのテイストなのだろうか?一応長編バージョンがあるらしく、たしかに長編にして戦闘や人物造形などをもっと書き込んだらエンタメとしてさらに面白くなりそうではあるけど、ちょっと腑に落ちなかった。この短編集に入れるには少し浮いている気がする。
  • 2026年10月11日
    ソーネチカ
    ソーネチカ
    静謐で平易な文章が美しく、また何か素通りしかねないところに大事なものが潜んでいる感じがして、滋味のある小説。 客観的には不幸ともいえそうな状況にあっても、ソーネチカはただそれを受け入れ、そして主観的幸福を生きている。無理しているわけではないし、周囲の哀れみの目を理解していないのでもない。これを愚かと切り捨てるのも、稀有な才能と思うのも何か違う気がして、知らない感覚だと思った。 特に喉につっかかっているのは、ソーネチカが「幸福な結婚生活が幕を閉じたことを理解」しながらも、「こんないいことはない」と心から考え、ヤーシャを慈しんでいるように見えるところだと思う。夫と自分とが半ば一体化しているのかもしれないが、私はそれを危険で不健全なことと思って生きてきたので、ソーネチカの幸福を、自身の人生に対する主体的な解釈と思って良いのかわからなくなってしまった。 いずれにしても文章が素晴らしいのは間違いない。起きていることの良し悪しも振る舞いの善悪も、全ての判断が留保されているような語りで、そういうところもおもしろかった。いつか読み返したい。
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