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- 2026年2月8日
死の講義橋爪大三郎読み終わった面白いと聞いて読み始めた。自分が死んだらどうなるか。科学や合理主義を視界に入る傍らに置きながら、、宗教の変遷を読み解きながら考えてゆく。平易な文章で綴られており、きっと思春期の青少年にも読みやすい本ではないかと思う。ニヒリストの項を読んでいる間、映画「PiCNiC」で、chara演じるココが言っていた「私が死んだら地球も一緒になくなっちゃう」という台詞を思い出していた。 - 2026年2月4日
おらおらでひとりいぐも若竹千佐子読み終わった勧められて借りた。勝手に実在する高齢女性の自伝的な小説なのかと思っていたが、そうではなかった。70代の女性が、歩んできた人生を振り返りながらいまを生きる、喜びや悲しみや葛藤を、亡くなった夫を、少女であった自分を、思考する自分を、すべてを自身の内面に引き連れながら生きる。そうして肥大する生き物の幼児向け絵本を思い出したが、この女性の場合は外から決して窺い知ることはできないのであろう。ああ、なんと人らしくあることか。 「この家に濃く太く引かれた見えない動線」という一文に込められた長い年月を思う。 - 2026年1月29日
ほろよい読書 おかわり一穂ミチ,奥田亜希子,朱野帰子,西條奈加,青山美智子読み終わったカバーのかかった状態で、中身を知らぬまま借りた本である。酒と人にまつわる五編からなる短編集で、甘酸っぱいものからほろ苦いものまでやや恋愛に寄った物語が多かったように思う。日頃、あまり手に取らない類のものであったぶん新鮮に感じることができた。「酒を飲む」ことを介して繋ぐ時間や感情、酔った状態で発せられる言葉たちの、じわりと温度や湿度を纏っている様子が印象的であった。 - 2026年1月28日
アフターマン 人類滅亡後の動物の図鑑 児童書版ドゥーガル・ディクソン,G.Masukawa読み終わった水族館の図書コーナーに置かれていたものを読んだ。人類滅亡後の世界に作られているという設定のもと、人類が存在していた時代が地球史の中の一つとして描かれ、その後に繁栄する生物たちを紹介している。細やかな設定や学術的な根拠(のようなもの)と、キメラのように新しい個性的な特徴と現在生息する生物たちの特徴を兼ね備えている生物たちが面白く、つい最後まで読み進めてしまった。虚構と現実の混ざり具合にくらくらと眩暈がするような不思議な読後感である。 - 2026年1月25日
いえ小野寺史宜読み終わった「ひと」は読んだものの、「まち」は未読である。たまたま書店で手に取り読み始めた。ごく平凡な青年の平凡さが良い。親友の起こした事故に関して自分の取るべきスタンスへの迷いが描かれているが、その平凡さ故に、善人過ぎない思考が身近なものに感じられた。主人公の意識下で、登場人物が悉くプロフィール付きのフルネームで説明されるのが少し面白かった。 - 2026年1月24日
ルビンの壺が割れた(新潮文庫)宿野かほる読み終わった一回読んだらおしまい、という感じの本だという紹介とともに借りた本である。facebookでのダイレクトメッセージ上でやり取りされる会話のみで構成される物語のようで、大どんでん返しと帯には書かれていた。中盤くらいで結末に見当がついてしまったので(恐らくどこかで類似した作品を読んだことがある気がする)、展開に驚くことはなかった。 「ちょっと気分が悪くなるかもしれない」と聞いていたが、確かに性描写の苦手な人や小中学生に勧めることは憚られる内容のエピソードが幾つかあった。 - 2025年12月13日
マリエ千早茜読み終わったあらすじを知らぬまま読み始める。離婚にまつわる作品である。結末は概ね予測の立つものであったが、恋人との関わりなどに関して千早作品には珍しい描写があるなと感じた。自分、複数の他者、社会、それぞれの価値観やものの見方が描かれていて、そのどれも否定していないところが好きだ。結局は一人一人が地に足をつけて自分を幸せにしてゆくのだと思ったものの、相談所で出会った女性のようにそれが儘ならぬ事情を抱える人もいる。友人の行動にも理由があった。人生の数だけ葛藤や必死さや安堵や正しさがあるし、それはその人の環境と絡み合うものであって、他者が見えるものだけを材料に批評するような事柄ではないのだと思う。 - 2025年11月10日
- 2025年11月1日
さよならジャバウォック伊坂幸太郎読み終わった新刊に昨日気が付き、すぐに購入して読んだ。伊坂作品で、このような、コミカルさのない長編は久しぶりではなかろうか。いつもながら序盤から伏線の気配と必ず回収されてゆくのであろうという安心感のもと読み進めることができた。これは、とても温かで良い話。 - 2025年10月5日
3分で読める! 一日の終わりに読むお酒の物語『このミステリーがすごい!』編集部読み終わったお酒にまつわるショートストーリー集であるが、それぞれの物語は短めだと思う。温かな気持ちになるもの、奇妙なもの、不思議なものなど多様な内容である。合間に手に取るのにちょうどよかった。 - 2025年9月6日
歌うエスカルゴ津原泰水読み終わった読書の時間が思うように取れず細切れで読む。曲者揃いの登場人物による会話がコミカルで面白い。明るくわかりやすい文章であるが、結末の方になると顛末が曖昧にされている事柄がぽつりぽつりと出てきて、少し不思議な感じがした。 - 2025年7月24日
雷と走る千早茜読み終わった本棚で読まれるタイミングを待っていてくれた作品である。10歳だった少女がガードドッグに抱いた愛と、成長した彼女が恋人と育む愛が並行して描かれている。 言葉が通じない動物と多感で繊細で物知らぬ年頃の少女、という組み合わせだからこその 絆であった。他者が入り込む余地のない、彼女たちだけの濃密な絆であった。深いトラウマとなってしまったのも無理はない。 とはいえ、共通の言語を持とうが持つまいが、人間も相手を理解しようと努め、理解を得ようと心を開かなくては繋がってゆくことはできないのだなと思いながら現代部分を読んだ。 人にも物にも動物にも、それぞれの事情や背景がある。 - 2025年7月21日
グリフィスの傷千早茜読み終わったなんという感性だろうかと溜息が出た。傷にまつわる短編集という不思議な一冊。 心身に傷を抱えて生きる人の、その傷跡を恐々と指でなぞるように触れてゆく感覚を抱きながら、時に『ああ、自分はあの時、このような言葉で表現される心情だったのかもしれない』と考えたりもして、妙な安堵を得た。 余談だけれど、使われている紙の質がきめ細かく滑らかで、ページを捲るのが大変心地良かった。 - 2025年7月20日
生を祝う李琴峰読み終わったもしも出生に際し、胎児本人による出生の合意を義務付けられていたら、の世界が描かれている。親ガチャ、という言葉を思い出しながら読む。胎児に提示される、彼らの人生における難易度、幸福度を示すものが実に現実的であるが、それはとても優生思想的でもある。 この制度は果たして実際には胎児の尊厳を守っているのかいないのか、と気持ちが揺れた。どのような子どもが生まれたとしても、社会にそれを受け入れ支える仕組みがありさえすれば、あれらは必要のない尺度ではないのだろうか。 - 2025年7月19日
湯気を食べるくどうれいん読み終わった読みたかった本だと思って購入し、よく見ると、手元にある『わたしを空腹にしないほうがいい』というZINEと同じ著者の作品であった。そちらを読んで、それから一気に読んだ。 著者の人生における食について、短いエッセイで綴っている。菜箸を握ることで繋ぎ止めてきたものに深い共感を覚え、幾度も頷きながら読み進めた。 - 2025年7月18日
パズルと天気伊坂幸太郎読み終わった新刊が出ていたことに気が付かず、書店で二度見をしてしまった。 短編集とのことで気軽に読み始める。ほんのり残酷さを備えながら、人の心の温かいところを優しくくすぐる伊坂ワールドは、大人の童話であるなと思った。 全体的に、伊坂作品は男性の登場人物の語り口調がやや硬く『なのか』を多用しがちなのに対し、女性の登場人物は比較的砕け気味の口調で『だわ』『わよ』を滅多に使わず『なんだよね(言い切り)』を多く使うように思う。強くて元気な女性がたくさん出てくる世界だと感じる。 - 2025年7月17日
氷点(下)三浦綾子読み終わった勢いのままに読み切る下巻、続編の方は本編(と言うのかはわからないけれど)ほどは読み込んでいないため、うろ覚えの箇所も多かった。ことの発端となった20年余り前の事件の関係者たちとの出会いはあまりに出来すぎた偶然とも言えるが、これもまた『大いなるものの意志』なのではないかと思わされる。 他者を罰したり責めたりする人は、その人の正しさの絶対的基準で他者を見ているという。 自分は善であるという思いが他者を低く見せる、といった意味合いの文章が心に残った。 各人物の持つ罪へのありようが実に三者三様で、それぞれの切実な苦悩の断片を受け取りながらページを捲った。 - 2025年7月15日
続氷点(上)三浦綾子読み終わった一命を取り留め、翳りのない強さが陽子から消えた。人を責める気持ちや恨みの感情を覚え、自身の出生が不義によるものであったことを許すことができない。 無意識のうちに犯す、人間には始末のつけようがない罪の話を啓造は陽子にしている。いつの間にか積み上がる膨大な罪の小石に座りながら自らに非はないと思っている気がする、と。 残忍な仕打ちを行う者の性質全てが悪ではないこと、自分という生を全体の中のひとつとして捉えることなど、心に留めておきたい文章がたくさんある。 - 2025年7月11日
氷点(下)三浦綾子読み終わった上巻に引き続き。夏枝の自己愛の強さによって正当化される行いの数々、無知で幼かった二十代と比べて年齢とともに粘度を増す執念深さや凄みのようなものが印象的ではあるが、彼女は啓造に比べ驚くほど狭い世界で自身の美貌を評価され生きてきた人物であるので、献身的で愛情深い母親という同時に存在する別の面も相まって、哀れな人物のようにも思う。 清廉潔白であった陽子は、成長するにつれて他者への嫌悪感や嫉妬、猜疑心といった激しい感情を自身にみとめ困惑する。 誰もが羨む理想的な家庭、人物においても、抗いがたい負の感情や劣情が存在し、またどのような人生であっても向き合うべき罪があるのだろうか。 読んでも読んでも、新しい気持ちでまた読んでしまう。 - 2025年7月8日
氷点(上)三浦綾子読み終わった縁あって幼い頃に出会い、手放したり購入しなおしたりを数十年に渡って繰り返している。 初めて読んだときは、年齢の近いルリ子に気持ちを寄せていた。次第に自分が成長し、視野が広がり、言葉の意味や複雑な感情を理解できるようになるにつれて、少しずつ他の人物像が見えるようになっていった。 脳裏に広がる厳しい北海道の冬の情景、行きつ戻りつする人びとの心、狡さや未熟さなどの描写が見事で、何度も読み返す価値のある作品だと思う。
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