まつゆき
@mtyk158
積読がたくさん ゆっくり読みます
- 2025年10月10日私が大好きな小説家を殺すまで(1)斜線堂有紀読み終わった買った『憧れの相手が見る影もなく落ちぶれてしまったのを見て、「頼むから死んでくれ」と思うのが敬愛で「それでも生きてくれ」と願うのが執着だと思っていた。』 SNSの書籍紹介で目にして凄まじい文章だと興味を惹かれた冒頭の一文。 いつ見ても秀逸だと思う。 ✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼ 読み終えたので感想のようなもの⬇️ ・小説を書いたことがある人、己の文才に悩んだことがある人、書きたいものがあって書いているはずなのに他者の評価に振り回されてしまう気持ちを味わったことがある人、誰かの書いた物語に救われた経験がある人にはめちゃ刺さる箇所がちらほらある気がする。 ・斜線堂有紀さんの本は恋に至る病だけ読んだことがあるけども、執着により歪んでいく人間を書くのが上手すぎて今回も鳥肌が止まらなかった。 普段あまり本を読まない人間でも読みやすい文章だからそんなに頭を使わずするりと読めてカロリー低いように感じるのに、そこからお出しされる人間の感情がとても重くてハイカロリー!!!!となる 人間の激重感情、良い ・冒頭の文章を読んだ時、『「それでも生きてくれ」と願うのが執着』というのは「落ちぶれたって構わない、ただそこにいてくれればいい」の意味だと思っていたけど、作中だとこちらの意味だけじゃなくて「生きてさえいれば、また落ちぶれる前に戻ってくれるかもしれない」みたいな期待、未練がましさのようなものも含まれていて、なるほどとなった。 冒頭の「憧れ」というのはめちゃくちゃマイルドな表現で、作中で描かれてたそれは「信仰」がよりふさわしいように思う。 「落ちぶれたって構わない、ただそこにいてくれればいい」の場合はその人そのものへの情がベースになっていて、言い換えれば「私の神様でいてくれなくたっていい」だけど、「生きてさえいれば、また落ちぶれる前に戻ってくれるかもしれない」は結局のところ「私の神様でいてほしい」なんだなあ……
- 2025年10月6日カフネ阿部暁子読み終わった買ったSNSで知ったタイトルの意味に惹かれて購入した本。 読んでる途中の感想⬇️ ・第一章: 本当はもうぼろぼろなのに人前ではなんとか気丈に振舞って、崖のふちに必死にしがみついているような、「まだ大丈夫」を演じているような、そんな人間の描写に心臓がきゅっとなる心地。 固く握りしめた手のひらが少しずつ解かれていくように二人の会話が進んでいくのが少しほっとする。 ・第二章~終章: 続きが気になって一気に読み進めてしまった。 食事をする、部屋を片付ける、しっかり眠る……「生活」をすること、生きることに疲れてしまった人が程度も事情も様々にたくさん出てきて、身に覚えもある部分もちらほらあり、時折ドキリとしながら読んだ。 その疲れてしまったすべての人に寄り添ってくれているような作品だと感じた。 部屋が荒れたり食事が億劫になったらまた読み返したくなりそう。 でも優しく寄り添いつつも登場人物が聖人というわけでもなく、独りよがりなところもたくさん出てきて人間らしくて良かった。 人を大切にする、愛するとはどういうことだろう、というのも考えさせられた。 たとえばあたたかいごはんを作ってあげること。 一方的に気持ちを押し付けずに相手の気持ちをきちんと聞くこと。 その人が苦しんでいる時、助けたいと思うこと。 きっといろんな愛し方があって、でもそれもその人のエゴだから、大切にしたい相手と噛み合わないこともあるのが人間のままならないところでもあり。 この「人を大切にする」ということは、他人に向けるだけではなくて自分自身にも向けられるべきだということも一貫して伝えてくれていたように思う。
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