私が大好きな小説家を殺すまで(1)

12件の記録
- まつゆき@mtyk1582025年10月10日買った読み終わった『憧れの相手が見る影もなく落ちぶれてしまったのを見て、「頼むから死んでくれ」と思うのが敬愛で「それでも生きてくれ」と願うのが執着だと思っていた。』 SNSの書籍紹介で目にして凄まじい文章だと興味を惹かれた冒頭の一文。 いつ見ても秀逸だと思う。 ✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼ 読み終えたので感想のようなもの⬇️ ・小説を書いたことがある人、己の文才に悩んだことがある人、書きたいものがあって書いているはずなのに他者の評価に振り回されてしまう気持ちを味わったことがある人、誰かの書いた物語に救われた経験がある人にはめちゃ刺さる箇所がちらほらある気がする。 ・斜線堂有紀さんの本は恋に至る病だけ読んだことがあるけども、執着により歪んでいく人間を書くのが上手すぎて今回も鳥肌が止まらなかった。 普段あまり本を読まない人間でも読みやすい文章だからそんなに頭を使わずするりと読めてカロリー低いように感じるのに、そこからお出しされる人間の感情がとても重くてハイカロリー!!!!となる 人間の激重感情、良い ・冒頭の文章を読んだ時、『「それでも生きてくれ」と願うのが執着』というのは「落ちぶれたって構わない、ただそこにいてくれればいい」の意味だと思っていたけど、作中だとこちらの意味だけじゃなくて「生きてさえいれば、また落ちぶれる前に戻ってくれるかもしれない」みたいな期待、未練がましさのようなものも含まれていて、なるほどとなった。 冒頭の「憧れ」というのはめちゃくちゃマイルドな表現で、作中で描かれてたそれは「信仰」がよりふさわしいように思う。 「落ちぶれたって構わない、ただそこにいてくれればいい」の場合はその人そのものへの情がベースになっていて、言い換えれば「私の神様でいてくれなくたっていい」だけど、「生きてさえいれば、また落ちぶれる前に戻ってくれるかもしれない」は結局のところ「私の神様でいてほしい」なんだなあ……