▫️身近なものを見つめて、そこからこぼれる思い出や、想いや祈りを編み上げたエッセイたち。物への向き合い方や、手つきの柔らかさが染み入ります。 ▫️ものから想起された知らない風景、知らない習慣、知らない食べ物がまるで自分の思い出かのように、ごく身近な距離に感じるこのエッセイのことが好きです。 ▫️「祈りをこめた〈ごみ〉」というお話と同じようなことをずっと私もしていて、本を通して同じ祈りを共有したような気持ち。これからも出来る限り丁寧に分別して、容器の中を濯いで乾かして、割れ物に「ガラス注意」のメモをつけます。

読み終えたあと、抱きしめたくなる本はそう多くはないと思うのですが、これはそういう稀有な本でした。自分はこういうお話がいっとう好きなんだってことを思い出した。気味の悪い絵本のような序盤から、嵐のように物語が駆け出して、最後はこのダークな表紙からは想像も出来ないような爽快で誇らしい読後感が待っています。特に寒い朝の描写と、優しさが滲んでしまっている毛布の描写がすき。

つるつるの陶器のような装丁に惹かれて購入しました。レジにもっていくとき素敵な箸置きを買うときのような気分だった。