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モリ@読書記録
モリ@読書記録
@ymori_2
アウトプット用。時間がある時に過去の本も振り返る。本業は人材紹介業。興味→組織学、哲学、生成AI、脳科学。好き→推理小説、猫。
  • 2025年4月24日
    「がんばらない」仕組み
    「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」から派生して、「頑張らないための本」を読んでみた。前者が社会構造などのマクロの視点であるのに対し、後者は個人の精神状態などのミクロの視点で、「がんばりすぎ」に警鐘を鳴らしている。 最も印象的だったのは、「がんばらないこと」を「がんばらない」という点。最近流行りの休息に関する書籍や、頑張る自分からの脱却などは、「がんばらないこと」を「がんばっている」のである。人間は世の中の質が上がってきたと同時に、完璧を追い求めすぎる傾向がある。自分にうまくいかないことがあると、すぐに解決しようとするし、解決策があると考えてしまう。実際には、時間が解決することも多い。うつ病なんかはその代表で、無理に治そうとすればするほど沼に嵌っていく。まずは「完璧ではない自分」を許し、時間が解決することを自覚し、ありのままの状態で何もしないでいることが、健やかな人生には不可欠である。
  • 2025年4月23日
    なぜ働いていると本が読めなくなるのか
    現代人は労働に比重を置きすぎるあまり、労働以外の家庭や余暇に割く余力が残っていない。現代を象徴する新自由主義は、労働者の流動性を高めた一方で、際限なく成長を求める。労働者は不安を解消するために、目的もない成長を目指して労働に全身全霊で臨むのである。その結果がバーンアウトであり、鬱病である。筆者の主張は、そのような全身全霊を辞めて、半身で物事に取り組むことである。労働だけでなく、家庭も余暇も読書も半身でいい。そのためには頑張りすぎることを称賛することをやめ、バランスの取れた生活を意識することである。 この本は、労働という観点から人間の弱さを説いている本だと私は考える。人々の、少なくとも日本人の労働観は古くから、その社会構造による影響を大いに受けてきた。会社への貢献が賞賛される時は会社へ全てを捧げることが美徳とされ、社会保障からの自立を求められる時は際限なき成長を追い続ける。近年の若者の「目的なき成長志向」は、社会からはみ出し、ついていけなくなる不安からきているのではないか。実際、成長は金銭という形で勝者に報酬を与える。その一方で、多くの敗者は余暇や家庭を犠牲にし、その上で己の全てを捧げた仕事でも陽の目を浴びることはない。しかし、その敗者の多くはプライドと名誉と多少の金銭を失うだけなのだ。プライドも名誉も金銭も、他人からの評価ありきである。であれば、半身で生きてもいいではないか。仕事も余暇も家庭も半身で、ほどほどに生きていく。不安という他人が生み出した虚構からの脱却こそ、私たちが今を味わって生きる術なのではなかろうか。私は筆者の主張に加え、一歩引くことの大切さも強調したい。我々が前提とする価値観に、バイアスはかかっていないか、その価値観で得をするのは誰なのか、生活のバランスは取れているのか。自分の望む生活を、自分の中だけではなく、外部とのつながりも含めて考える。自己分析を仕事以外にも活かす。このようなメタ的に捉える能力を育むことが、我々がほどほどに、豊かな生活を送る鍵ではないだろうか。
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