ホテル・アイリス
10件の記録
授受@mocca11041900年1月1日読み終わったとんっっっでもない小説だった…。最近は学術書ばっかり読んでいるからそれも原因なのかもしれないけど、読む手が止まらなくてトータル4〜5時間で一気に読み終えてしまった… 夏の物語なのに、小川洋子さんの文体と、全体に敷衍するうっすらとした死の匂いのせいか、冷たい汗の滲むような気持ちで読んでたな…。 所謂ヤングケアラーとして幼少期を過ごして、いっぱしの教育も受けられずに社会から隔絶された主人公。彼女にとっての「社会」はホテルのフロントで、彼女と外の世界を繋ぐのは訪れる客。彼女が心から安らげる場所はどこにもない。腹水、血、汗、小さな頃からずっと体液と死に触れ続けていた彼女にとっては多分、それに触れる(他者として接する)ことで初めて「生きている」という実感に繋がったんだろうか、と思ったり。 翻訳家がうっすらと纏っている危うさ(病的なほどの几帳面さ、二面性)に惹かれて連れられたF島は、彼女にとって初めての外の世界。たった一人彼だけの居るその島で、彼と二人きりで睦み合う場面が、なんだか失楽園のワンシーンに見えてしまった。いややってることはハードSMなんですけどね…








