戦時の音楽

4件の記録
DN/HP@DN_HP2026年2月10日かつて読んだarchiveとにかく素敵な文章が読みたい。という欲求は、改めて音楽を聴こうと思うときの感じにも近いのかもしれない。そんなことを思って本棚の前に立ったときには、海外文学の短編集を翻訳家で選びたい。 戦争と音楽、幾つもの時代と舞台、様々な登場人物。そのどれにも作者の人生、それにルーツを強く感じる。すべての物語は作家の人生、経験から生まれるとも思っているけれど、この物語は作家の経験そのものなのだ、本当にそう思える、あるいは思い込んでしまう短い話が好きだ。 祖母に関する3つの“言い伝え”や1枚の家族の写真からの回想にも、少年や中年男性を中心に据えた物語にも作家の人生を感じる。人生のなかの経験、そこから得たものは、時代や場所、人物、その出来事すら入れ替えたとしても絶対に残る。 それを感じることが出来るのは、やっぱり文章自体に力があるのだと思う。素敵な文章から入って、そこにある人生、経験にたしかに触れる。それが翻訳された文章なら、そこには翻訳家の経験も入り込んでいる(それは翻訳として良いことではないとしても)のかも知れないと思う、というか思い込みたい。 そういえば、この翻訳家の方は翻訳中に音楽がループするという話を思い出す。この短編集には音楽が流れている。その関係性が生み出すグルーヴももしかしたらあるのでは、と考えてみる。直接は関係がないかもしれないけれど、ああ、そういえば、物語を読むように聴きたい音楽というのもあるのだよな、という考えにたどり着いた。「どの曲も物語を語っているのよ」というセリフが出てくる少年がバイオリニストの演奏にその人生を“幻視”する話は、この短編集のなかでもとくにお気に入りのひとつなのだった。


















