赤と黒(上)

赤と黒(上)
赤と黒(上)
スタンダール
野崎歓
光文社
2007年9月1日
2件の記録
  • CandidE
    CandidE
    @araxia
    2025年7月9日
    訳は悩んだけれども、2025年だし光文社で。異論は認める。 それにしても、なんなの、この思考と感情の揺れを、速度を伴って丁寧にいじり倒す技術。びっくりした、すんごい。情動のフレームレートが圧倒的に高く、主人公と取り巻きの虚栄、欲望、自意識、愛、野心が秒単位でめまぐるしく変化する。そのたびに気持ちが激しくシェイクされる。感情のメリーゴーランド、喜怒哀楽のジェットコースター。濃厚だし、熱量が半端ない。やばいやばい、通常の読むスピードでは危うく読書が処理落ちしかかる。ドストエフスキーのあのターン制は、実は超親切設計であったと知る。 それに、ちょくちょく顔を出すスタンダールの毒気たっぷりのツッコミがめちゃくちゃ冴えていて、何度も笑う。面白い。 さらに、本書を読んだことで、ようやく自分の中でナポレオン主義がすっと腑に落ちた。しっくりきた。これが収穫で、とてもラッキーであった。万が一『罪と罰』を読み返すなんてなことがあったらば、その味わいはマシマシかも知らない。 兎角、いろいろ面倒くさいし煩わしいのだが、それも魅力。やめられない止まらないで下巻へダイブイン。
  • 練井
    練井
    @Nellykanae
    2025年3月20日
    読み終わった〜強烈だった 強烈な小説だった なんだろうなあ 常にピンからキリに感情が振り切れまくる主人公で正直全然感情移入はできないんだけど… 主人公のジュリヤンと恋に落ちる女性の、身分を盾にした大胆な行動とか、開き直ってする狡猾な行動がとても面白くてしたたかで、主人公にイマイチ入り込めなかったものの、女性陣は本当に好きでした。 レナール夫人、ジュリヤンからも夫からも、なんなら筆者からも頭は良くない田舎者みたいなこと言われるけど愛のための行動するときの切れ者ぶり、大胆さみたいなところと愛を感じているときの素直なところのギャップ!本当に素敵な女性!私にはまねできない! マチルドはENTPっぽい。初め、発火したての恋心に抵抗してたりするんだけど、段々自分自身の恋心に焼き尽くされ破滅的になったと思うと、強い貴族の女として生まれた血をジュリヤンのためになりふり構わず使い倒して彼を助けようとする強さ、名誉や家系の誇りを不意に思い出して我に返ったり嫉妬に狂ったり彼女も強烈なんだけど、前のめりに自分の力を使う姿はレナール夫人とはまた違う形の女の強かさが描かれてて、いいなぁと思いました。 この小説は身分をものともせず頭だけで何とか立身出世してくぜ!!みたいな小説だと思うんだけど、私はそこの話よりもついつい女性たちが恋に奮闘するシーンを楽しんで読んじゃったな。
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