オランジェット

10件の記録
Yo@otsuki2026年8月20日読み終わった月が月の残像でしかないことも ビデオ通話の夜道 優しい 春はよく眼鏡のほこりがみえるなあ外して拭いてホームで待った あかねさすオランジェットは見ていないときに満ち欠けする贈り物 都市はいま薄暑 バルーンスリーブの二の腕あげて見つけてもらう ひろげえと帆を張らぬ腕 鳥ならば泊まればそこが港だけれど 銀の鍵回しきったらあとは寝るだけにしてあるこの世のねぐら おこる? って訊かれてさびしかったこと心に柿の黒点ほどに よけたけど酔っていたのですこし踏むぎんなんの実のださいにおいだ 濡れるほどではない雨もふたりなら傘さしてゆく烏丸御池 さえざえと明るい窓を過現未のだれも偶像めいてよこぎる 死後もあるいは余生だろうか周りくるおすしの上のかますきときと 首都高をねじれの位置に見下ろして冬なかぞらの道を歩めり 無理に笑ってどうにかなったことだって灯火にして濡れた夜道を
書肆侃侃房@shoshikankanbou2026年6月11日出版社より四六判、並製、192ページ 定価:本体2,000円+税 ISBN978-4-86385-729-2 C0092 装丁 花山周子 栞 川野里子 黒瀬珂瀾 初谷むい 海に架かる橋はたてごとその弦をつまびく指をゆめみて待たず 第一歌集『はるかカーテンコールまで』で現代歌人集会賞と高志の国詩歌賞を受賞した著者の第二歌集。 「笠木拓という作者は、こんなにもふとぶとと言葉と命を太らせ、命がけで言葉の「遊び」を尽くそうとしている。怖いな、と思う」(川野里子) 「しずかで、時に大胆で、繊細で、そして果敢な戦いの歌。笠木さんの世界には、この時代を生きる人の言葉が現実と切り結ぶ、吹きぬける風のような精神がある」(黒瀬珂瀾) 「どうがんばったって、世界は悲しい。だが、悲しい世界を生きていくとき、その悲しさを自覚していることは強さだと思う」(初谷むい) 【収録歌より】 濃くうすく色づきながら夏空は慣らし保育のように暮れゆく きみといるといつもかもめが背景を奥へゆく なぜかな さよなら てのひらに立てたるあわで面の皮すなわちメンズBB落とす においから桜はひらきこの星にいつか途絶える観測史あり うつつにもゆめにもひとのおもかげのたちあおいたちあおいたそがれ














