メロディアス

4件の記録
- こよみ@Candy_Noisily2025年5月14日読み終わった宮澤伊織さんの「悪いお経はご遠慮ください」と篠たまきさんの「軸月夜」が特にお気に入り。 宮澤さんのシリーズは前回も良かったから楽しみにしてた!どこかシュールで、怖いはずなのに面白い。 篠さんの作品も、毎回楽しみにしてる!今回も期待を裏切らない。官能的でゾクゾクして、本当に好み。 梨さんの作品も、着眼点面白かった!「~だぜ」「~だわね」だけで何表現してるか分かるから凄い。
- のーとみ@notomi2025年3月9日読み終わった収録されてる、斜線堂有紀「小夜鳴け語れ、凱歌を歌え」が、大傑作です。読み終えたので感想、入れときます。長くてすみませんw 井上雅彦編「異形コレクション58 メロディアス」読んだ。前作「異形コレクション57 屍者の凱旋」同様の傑作揃い。このところの異形コレクションはほんと凄い。今回も全作面白い上に、単なる音のホラーではなく、ちゃんとお題の「メロディアス」を正面から受け止めた音楽やメロディを主題にした作品が揃ってるのが素晴らしい。どの作品も見事に音楽が聴こえるのだ。それなのに、ほぼネタ被り無し。その分、どれもほとんど映像化不可能というか、どうやって、その音楽を聴かせられるかというと、そりゃ小説という形以外にないよね、という意味でも、小説という表現方法でなければ成立しない面白さ。忙しかったので、寝る前に一編ずつ読んでたのだけど、どの小説も読み切るまで寝られなかった。一気に読んで、コトッと寝る幸せな日々。 白眉は、佐賀の龍造寺と大分の大友宗麟の戦いをベースに、その裏で戦場をコントロールする鍋島清房の妻にして、戦国大名居並ぶ時代に戦上手として今も名が残る慶誾尼と宗麟の妻による謀略戦を音楽の戦いとして設定した上で、その中で歌う女性たちの姿を描くという、なんか山田風太郎忍法帖の現代的アップデートみたいな、そして強烈な反戦ホラーであり、女性小説でもあるけど、純然と音楽小説という凄まじさの、斜線堂有紀「小夜鳴け語れ、凱歌を歌え」。これ一本のために、この本買っても損はない大傑作。 あと、この異形コレクション内でこっそり連載が続いてる、宮澤伊織の「愛美とふーこ」シリーズの3作目「悪いお経はご遠慮ください」が、またいい。この百合ホラー・コメディだけどちゃんと怖いけど楽しい、ちょっと諸星大二郎の「栞と紙魚子」シリーズっぽい味わいもあるシリーズ、毎回、趣向が凝っていてほんと好きだわ。作者のSF連作「ときときチャンネル宇宙飲んでみた」のホラー版なんだけど、ホラー状況から、どうやって抜け出すかにミステリっぽいロジックもあって、一方でホラー状況に巻き込まれる唐突さが変で、良いシリーズなのだった。今回の「悪いお経」ってアイディアも最高。 連作としては、井上雅彦のこれも主に異形コレクションで発表が続いてる、あのヴァン・ヘルシンク博士の娘にして、ロンドンで著名な精神科医として活躍しているレディ・ヴァン・ヘルシンクと、彼女の書庫の整理係として雇われたジョン君のシリーズ最新作「吼えるミューズ」も相変わらず面白い。このシリーズ、ヴァンパイヤ・ハンターの父が日本で小泉八雲と一緒に色々やっていた時の遺品というバックボーンが毎回、事件に絡む仕掛けが効いていて、実は妖怪ものでもあったりする多層構造が、さすが井上雅彦という感じで、他にはない魅力。こっちはもう6作目だから、そのうち単行本になるのかな。 斜線堂有紀作品に並ぶ凄まじさだったのは、空木春宵「h○le(s)」。変なタイトルだけど読めば、もうそういう小説だと凄く納得がいく。ほんとこの人の、自らの身体を損壊していく描写はものすごい。それが常に自虐でないという恐ろしさ。体重が減っていくリアルさとか、音楽を奏でるものと聴くものとの間にある溝の深さとか、全部がこの短い文章の中にある。メイン・アイディアが聞いたような話だからありきたりな物語だと思ったら大間違い。これをここまでこんなふうに書くの、橋本治の「魔」以来じゃないかな。 澤村伊智の「僕はここで殺されました」は上手い。最近の実況系ホラーとか、ネット系ホラーの方法論と、ホラー小説という物語表現の融合は、「怪談小説という名の小説怪談」あたりから、ずっと試みてる澤村伊智のひとつのテーマみたいだけど、そのメタ的な手法にさらにメタを重ねて、入れ子のスタイルも組み合わせて、ありがちのオチを裏返す小説技巧が好きだわー。音楽論でもあり、中嶋らも論でもあったり、異形コレクション批判までやって、その上でこれだ。小説を読む楽しみはこれだなあw 久永実木彦による女子校の部活小説「黒い安息の日々」でのブラック・サバスと魔女の使い方とか、ラッパの音が正気と狂気の境をいつのまにか混濁させる芦花公園の「ヨナにクジラはやって来ない」とか、山岸涼子風味のホラーをひねった視点で描いた篠たまき「軸月夜」とか、どれも面白くて、うわー、と思いながら読んでいると、大トリに田中啓文による、クトゥルフとシェイクスピアとジャズの誕生とクロスロード伝説と録音技術の発明をぐちゃぐちゃに繋ぎ合わせた怪作「真夏の夜の夢」が待っている。田中啓文、この一作で筒井康隆を超えたなあ。牧野修との合作伝奇長編「郭公の盤」も思い出した。清順の「ツィゴイネルワイゼン」というか百閒の「サラサーテの盤」とか、記録メディアとしての「溝」はホラーと相性がいいかも。思わず第5回ニューポートの映画「真夏の夜のジャズ」見たくなった。
- 碧の書架@Vimy2025年3月6日読んでる斜線堂さんが読みたくて買っている異形コレクション、テーマによっては好みじゃないかもって心配になるんですが、どの本も秀逸で好きなお話が見つかります。今作はメロディーがテーマです。