エオンタ/自然の子供 金井美恵子自選短篇集

6件の記録
- 蛸足配線@nekoai302026年9月25日読んでる『自然の子供』を読み終えた。海・死・光のイメージが乱反射する万華鏡のよう。この子供たちはこの世ならざるものだろうか。決して大人にはならず、海からやってきて海に還ってゆく円環をめぐり続けているように見える。通常の時間感覚から疎外された存在。現実から遮断されているのに生々しい身体性が時々顔をだす。肉体を喪失しても、生きた体があった記憶はどこかにとどまるのか。一体どこに。
- 蛸足配線@nekoai302026年6月27日読んでる『エオンタ』を読み終えた。タイトルは「存在するものたち」の意だそうだが、登場人物のほとんどが不在のものを見つめ不在のものに語りかけているように思える。しかし、現実の物理的次元に重量や質感を持たずとも、言葉で表現できるのであれば、それは言語による喚起という場においては確かに「在る」のだ。失語症の詩人Pは、言葉から立ち上がるこの豊饒な幻覚の世界から、少なくとも表向きには解放された風である。彼の内面には依然としてこの幻覚の場が根を張っているのだとしても、彼はそれを他者に向かって表現する術を持たない。残滓のような言語常同症が彼の口から噴出し、Aはそれを受け取る。Aの内に芽吹く幻覚がPの言葉を介して生じたものであるということは、Pもまた彼の内面にAと同一の幻覚を見ているということを意味しない。わたしたちはいつも言葉を取り交わしながら、それぞれ自分だけの夢を見ている。






