むずかしい愛
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- ゆらゆら@yuurayurari2025年6月28日読み終わった『見えない都市』はけっこう手強かったけど、こっちのカルヴィーノは大分読みやすくわかりやすくて面白かった!「ある◯◯の冒険」と題する12の短篇集で、◯◯には会社員とか兵士とか海水浴客とかが入るんだけど、どれも色んなシチュエーションのもどかしい現実を前に、心の中でぶつぶつ言いながらもがく様子がいじらしく、コントのようで可笑しかった。 幸運にも夢のようなアヴァンチュールの夜を過ごした平凡な会社員が翌朝そのことを誰かに言わない・言いたいの間でずっと悶々としてる「ある会社員の冒険」とか、恋人に会いに行くために乗ったローマ行き寝台列車でいかに快適な姿勢で眠るかで奮闘する「ある旅行者の冒険」とか、“実生活への参加を最小限にして”もっぱら本を読むことが人生だという男が海辺にやってきて本を読み始めるんだけど近くの美女が気になって…という「ある読者の冒険」とか、ミクロの視点で、まあ他愛ない心の内面をつらつら書いてるのが面白かった。 (25.6.28読了)


彼らは読みつづけた@findareading1900年1月1日かつて読んだ*読書で見つけた「読書(する人)」* 《そしてその下の、あの岩の縁がかすかに下り坂になっているところにタオルをひろげた。そこに仰向けに身を投げ出すと、もう両手で本の栞をはさんだところを開いていた。》 — カルヴィーノ作/和田忠彦訳「ある読者の冒険」(『むずかしい愛』1995年2月第6刷、岩波文庫)
