灰の劇場
9件の記録
橘海月@amaretto3192023年7月15日読み終わった久々の著者の作品だったので、読み始めてそのとりとめのない語りに、密かに懐かしさを感じていた。語り手がころころと変わる中、どうやら一人は小説家であり、彼女の小説に登場する二人が交互に過去を回想しているとわかる。その二人の未来が心中であることも…。 古い新聞記事をきっかけに、女性二人が一緒に死のうとする状況に想いを馳せる作家。どうやら二人は同居しており、同じ大学出身の友人だったようだ。もういない彼女達への思いを募らせながら、作家の小説が舞台化へ向け着々と進む。それは顔のない彼女達に顔を与え固定する行為では?と不安を抱く。 作家は自分の人生を彼女達に重ね、自分の過去を重ねる。二十年も昔に亡くなった彼女達。当時は二人よりずっと若かった自分が、今は二人の年代を若いと感じるようになっている。読み進めるにつれ混在していた語りが明確に違うとわかる。彼女のどちらかなのか作家かハッキリと。ある意味彼女達との決別だ。 恩田陸の作品はどこか芝居のようで、作中に芝居のシーンが登場することでよりそれが強まっている。小説を読んでいるというより、芝居を小説の形で観ているような。降り積もる大量の羽根、または砂。人生に降り積もる澱のようなもの。小説を読んでいるのか作家の人生を読まされているのか、曖昧になる。






