神はいつ問われるのか? When Will God be Questioned?

神はいつ問われるのか? When Will God be Questioned?
神はいつ問われるのか? When Will God be Questioned?
森博嗣
講談社
2019年10月23日
11件の記録
  • @sotaono
    2026年7月21日
    p9 「ロジが珍しく、僕を誘った。一緒に行かないか、と言うのだ。」 p9 「「説明が難しいのですか、あまりにも楽しいので、これを自分一人で享受したままにしては、多少ですけれど、後ろめたく感じました。もちろん、ほかの人だったら、そんなふうには感じませんよ。楽しみを人と分け合おうなんて、今まで一度だって考えたことがありませんでしたし、今も、それはそのとおり、変わりがありません。」」 p14 「彼女の自由は彼女のものなのだ。なにか問題でもあるだろうか?」 p16 「「でも、どこでもつき合うよ。君が行きたいところなら。」」 p26 「「なんか、どこかで見たことがあるような……。」僕は呟いた。そして、思い出した。エジプトだ。エジプトで、ロジが運転する車に乗って、こんな光景の場所を走ったことがあった。」 p27 「「嬉しい。」」 p27 「口許が少し緩んでいて、笑っている横顔だった。幸せそうな顔だ。ああ、良い顔をしているな、と僕も感じた。他人の嬉しさが自分の嬉しさに変換されるという現象は、いかなるメカニズムだろうか。そのファンクションを是非究明したい、と考えた。」 p29 「なのに、そういった逆境に屈することもなく、人は生き続け、研究し続け、考え続け、何世代にもわたって、自分たちの可能性を追求してきた。素晴らしいことだ。」 p30 「次の瞬間、目の前は真っ暗になった。なにも見えない世界。暗闇。黒。宇宙のようだな、と僕は思った。でも、こうして思ったり、考えたりできるのだから、まだ世界は存在している。話ができるのだから、僕もロジも存在している。本当に?ただ、そう感じているだけ。感じさせられているだけかもしれない。」 p36 「これがなかなか美味かった。その感想を、素直に言葉にしたが、ロジは僅かに微笑んだだけだった。」 p42 「「私ね、一度死んだことがあるのよ。」」 p42 「「そうだね。あのときは、さすがに私も感動した。2人で大泣きしたね。」」 p45 「「こんばんは。」小さな人形のようなオーロラがお辞儀をした。」 p51 「「メッセージだったら、言葉で伝えれば良いのでは?」」 p53 「「アリス・システムの人工知能のことです。その世界の神といっても良い存在です。」オーロラは、そう表現した。」 p56 「あのときは、夢から覚めるようにログオフした。そして今、その同じ夢の続きを見ようとしているのだ。」 p66 「こちらをじっと見つめる目は、淡いブルーで、彼女自身が人形のようだった。ワンピースも水色で、白いフリルで飾られている。」 p67 「「アリス。」少女は即答した。」 p68 「「ロジとグアトを待っていたの。」アリスは言った。」 p69 「「この子は、クマさん。」アリスが言う。」 p72 「「海の底を走るの。」アリスが言う。」 p73 「「すぐに起きないほうが良い。」僕は言った。「そういう伝説は知っています。」ロジは微笑んだ。」 p80 「「人は世界ではない。人がそう思っているだけのこと。世界は、人がいなくても消えない。人以外のものが沢山いる。」アリスが言った。」 p82 「「世界の意味?」アリスが振り返ってきいた。「その答をお持ちですか?」」 p96 「ロジは、僕に視線を移して、少しだけ舌を出した。素晴らしいリアクションである。」 p100 「「人間が絶滅した未来って、言っていませんでしたか。」」 p110 「つまり、彼女には裏がない、という印象から来ている推測だ。おそらく、子供のときからそのまま。大事に育てられたのだろう。真っ直ぐに生きているし、正直だし、素直だと思う。」 p122 「<eleven ear is not fifteen ox.>「十一の耳は、十五の牛ではない。」」 p123 「「十一はBで、十五はFだから、それを単語の前に加えると、熊は狐ではない、になる。」」 p127 「踞っている少女が顔を上げた。「アリスじゃない。」ロジが言った。「アリス、どこにいたの?」少女は泣いている。頬が濡れていた。口許を震わせ、肩を上下させて息をした。」 p128 「「クマさんがいなくなっちゃった。」アリスは答えた。」 p129 「不自由な神だな、と僕は感じた。まるで、暗闇で泣いている子供のようだ。やはり、アリスがここの神なのか。」 p131 「アリスは、ぬいぐるみを抱き締め、それに頬を寄せていた。」 p133 「「人間が滅んだということがわかったでしょう?その理解には、少しゆっくりと時間をかけた方が良いのよ。つぎつぎ合理的に進めてしまうと、なにも印象が残らない。結局、記憶として残るものって、ほんの僅かだから。人生がいくら長くなっても、経験したほとんどのものを忘れてしまうことになるの。そうでしょう?」」 p134 「「パレスがあるの。」アリスが答える。 彼女は、頬にぬいぐるみをくっつけたままだった。「そこで、お土産をもらって帰ったら、世界の時間が進んでいるかもしれないのよ。」」 p134 「アリスが微笑んだ。「秘密の美しい箱なんだけれど、あってもなくても同じだから。面白いでしょう?パンドラの箱かもよ。」」 p136 「「神様が、ここにいらっしゃるの。」アリスが言った。」 p138 「なにもかもが、高い方から低い方へ流れて、安定を求めて変形し、しだいになだらかになっていくだろう。いつかは、すべてが止まるのか。いつかは、完全な死を迎えるのか。静かに存在するとは、結局は生への反動だろう。生きたものが、一瞬だけ輝いた時代がかつてあった。その後は、揺り戻しがあって、すべてが闇に向かって落下していくのだ。」 p138 「アリスは近づいていくと、手に持っていた熊のぬいぐるみをテーブルの上に投げた。クマさんは回転しながら大きくなり、テーブルの中央に浮かんだまま止まった。今は二メートルほどもあろうかという巨大な熊になった。」 p139 「「さて、お望みのものは何かな?」クマさんが言った。」 p145 「「人工知能は一般に、理解することに積極的です。理屈で話し、理屈で答える。相手の言うことを理解し、素早く譲歩することが大事だと思います。けして感情的にならないことです。」」 p148 「この世がリアルだという保証はない。今が、既にヴァーチャルの中なのかもしれない。ずっと生きているからリアルだ、という判断には根拠がない。ただ、この世の神が、比較的矛盾を嫌い、不合理なことを表に出さないから、なんとか納得して生きていられるだけのことだ。」 p150 「夢でも現実でも、どちらでも良いのかもしれない。自分が信じる世界があって、そこで生きていく。それがその人の人生なのだ。」 p151 「時間と空間は、同じものなのだから、なにものも存在し、存在しない。それらは、表裏でしかない。」 p151 「「綺麗だった。」僕は微笑んだ。「ロマンチックだった。」「ロマンチックって、何がですか?」ロジが笑った。「とにかく、食事をしよう。」僕は言う。「食事?」ロジが首を傾げる。「え?」」 p156 「「こんばんは。」少女の声が聞こえた。ドアを開け、外を覗くと、通路に小さな女の子が立っていた。「アリスじゃない。」ロジが言った。」 p156 「さきほどまで一緒にいた。そのときと、まったく同じ服装だった。水色のワンピースに白いフリル。黒い靴。金髪はカールして背中へ垂れている。上目遣いの青い目が、僕とロジを交互に見つめた。」 p157 「アリスは、ぬいぐるみを片手に持っていた。巨大化し神のように語ったクマさんだったが、今は小さく、目も動かさなかった。リアルで見ることになるとは思わなかった。」 p161 「「もちろんよ。」アリスは微笑んだ。」「グアトさん、貴方の評価値が三ポイント上がりました。」「三ポイント?満点は十の評価?」「いえ、満点は二百五十五です。「そう……、じゃあ、僅かだね。」「もともとの評価値が高いということです。」」 p162 「「グアトさんは、北極海のオーロラを救い出しました。それから、チベットのアミラの再生にも関わっていました。私は、デボラからそれらの情報を得ました。私たちに理解がある方だということが、この度のお願いの前提にあるものです。」「え、なにか、お願いされるの?」僕はそこで黙って、アリスを見た。少女は青い目で、じっと僕を見つめる。」 p162 「「クマさんと私です。」アリスはそう言うと、ぬいぐるみを胸に抱いた。」 p170 「「人工知能にとって、死というものは恐れる状況ではありません。危機とは、過去を失うことでもあり、それによって、未来への可能性を失うことです。グアトさんの質問は、人間の価値観に根差しています。そのいずれも、実質的に同じもの。生命の本質的な防御反応によって、価値は形成されます。」」 p171 「「違います。知を築くことは、人間が山に登ることと類似した行為といえます。求めるものがある。そちらが高いと考える。その直観的評価によって価値というものが自然に生じるのです。」」 p173 「人間に残された最後のリアルは、死と誕生だったが、これも既に事実上消失して久しい。いったい、リアルにどんな価値が残っているというのか。」 p175 「「リアルとヴァーチャルを勘違いしましたって?」」 p181 「「簡単だったでしょう?」アリスが言った。」 p195 「「簡単だったでしょう?」同じ台詞だ。」 p199 「「人類は、自分たちの繁栄が後ろめたかったのではありませんか?」」 p201 「人類が絶滅しようが、世界が消滅しようが、人は目の前にあるパンを食べるだろう。その一瞬では、そのパンが望みなのだ。」 p203 「「これで最後です。」アリスは言った。」 p206 「「簡単だったでしょう?」少女が高い声で言った。」 p207 「「ロジさんに、特別なプレゼントも用意してあります。」」 p208 「「不正は正されるべきだとは思っているけれど、それで争いになるのは好まない。なにがなんでも叩こうとするのも、あまり好きではない。人間なんてものは、純粋ではいられない。そこが人工知能とは違う。自分の中に矛盾を抱えているし、いつも迷っている。可哀想な人は助けたいと思うし、無慈悲な人は消えてほしいと思う。理屈だけで選択するのではない。そういうことを、そうだね、六十年くらい生きると、だんだんわかってくるんだ。」」 p209 「「私も、そうありたいと思っている。でもね、人間というのは、一人ではなにもできない。力を合わせる必要があるんだ、なにをするにもね。そうなると、他者を説得する必要が生じる。ここが問題だ。ここで、ピュアではいられなくなる。人間が汚いのではなくて、人間関係が人間を汚してしまう、ということ。」「理解できます。」アリスは頷いた。「私も。」ロジが言った。僕は少し驚いて、彼女の顔を見てしまった。」 p213 「「スイスです。」アリスは答える。」 p218 「一台だけ変わったタイプのクルマがそこにあった。タイヤが剥き出しで、車体がとても低い。ヴァーチャルの中でロジが運転したレーシングカーにそっくりだった。「君にプレゼントがあると言っていたね。」」 p223 「<この先で検問がある。ハイウェイから一般道へ回避せよ。警察は車種を限定できていない。オブジェクトさえ隠せば安全。>」 p226 「「私のパートナです。ドイツ語は話せません。」」 p242 「前方には、<スイスへようこそ>という文字が空間に浮かんでいた。」 p247 「テーブルの奥に、男が座っていた。顔を上げて、笑顔で僕たちを見る。彼は立ち上がった。髭の船長、モリスである。」 p250 「中央に丸いテーブルが置かれ、白いドレスの美女が奥に座っていた。こちらを向いて一礼する。テーブルの上には、チェス盤が置かれ、駒が幾つか置かれていた。既に大部分は盤上にない。」 p250 「「待っている間、相手をしてもらったんですが……。」モリスが苦笑いして言った。「私もけっこう自信のある方なんですよ。でも、すでに二敗です。」美女は、表情を変えない。久し振りに彼に会った、と僕は気がついた。」 p251 「「サーキットに始まり、サーキットで終わったね。」」 p253 「「僕も、正直に言って、あれの魅力はわからない。でも、君が嬉しそうだということはわかるし、君が楽しそうにしていると、何故か、僕も嬉しくなる。」」 p258 「アリスが言った。「簡単だったでしょう?」あれは、もしかして……、リアルではない?では、ヴァーチャルだったのか?その可能性はある。否定できない。証拠なんてない。リアルの証拠なんて、常に自身の感覚だけのこと。どこにも表示されていない。証明することは不可能だ。」 p263 「彼女には、彼女の世界がある。干渉してはいけない領域だ。」 p264 「彼女の考える優しさ、彼女の世界の優しさだ。世界が違うのだから、見ているものは違う。受け取るものも当然違ってくる。」 p264 「自分の世界において、自分は世界の創造主なのだ。すべて自分の都合の良いものを思い描き、勝手に解釈する。世界というものが自分の外に存在するように見えても、実際は、そうではない。その証拠に、いつでもその世界を、自分の意志で消し去ることができる。人間は、かなりの確率で自殺する。世界を消して、リセットしたいと考える。コンピュータや人工知能や仮想空間が登場するよりもまえから、ずっと昔から、そのリセットは行われていたのだ。世界を消すよりも、さきに自分が消えようと考える神、それが人間だ。自分が神だと、どうして考えないのか、という問題を思いついた。それは、神になることよりも、神に縋る方がずっと楽で、安心できるからにすぎない。安心とは、安らかに眠れること、生を放棄すること、すなわち死を望むことだ。それを、ちょっとした言葉のレトリックで逸らし、誤魔化そうとする。」 p265 「彼女の顔を見ただけで、すべて許せると思い始めていた。」 p268 「それよりも、もうすべてが許せる、と感じた。ロジは、やはり正しい。彼女の第一の魅力は、圧倒的な正しさだ。」 p269 「彼女に危険が迫ったときには、何があっても身を挺して守ろうと思っている、と言いたかったのだが、恥ずかしかったので、その表現にはならなかった。オーロラの言い分は、わからないでもないが、僕の理想とのギャップは大きいようだ。」 p269 「ようやく、窓の外の風景を本当に見ることができた。これがリアルだ。絵に描いたような、という言葉のとおり、美しい山々が朝日で輝いていた。あまりにも整いすぎているから、まるでヴァーチャルみたいに感じられるほどだった。」 p271 「「人間は、常に新しくなるんです。」」 p272 「彼女は、上着のポケットから長細い箱を取り出した。フィルムに包まれ、リボンがかけられていた。」 p273 「「お誕生日だったからです。」」
  • 208
    @208steps
    2026年4月18日
    再読。何かうまく感想が書けずブックメーターに記録してないまま1~2年たってしまったので、もう一度読む。
  • 水源
    水源
    @fountainhead
    2026年3月22日
  • p.264 世界を消すよりも、さきに自分が消えようと考える神、それが人間だ。 自分が神だと、どうして考えないのか、という問題を思いついた。 それは、神になることよりも、神に縋る方がずっと楽で、安心できるからにすぎない。 安心とは、安らかに眠れること、生を放棄すること、すなわち死を望むことだ。それを、ちょっとした言葉のレトリックで逸らし、誤魔化そうとする。
  • noirlog
    noirlog
    @noirlog
    2026年1月23日
  • noirlog
    noirlog
    @noirlog
    2026年1月20日
  • shiho
    shiho
    @takeshiho22
    2025年12月31日
  • @who_you
    2025年8月14日
  • 緑の杜
    緑の杜
    @araki_0527
    2025年5月13日
  • 朔凪
    @sakunagi_h
    1900年1月1日
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved