ネバーランドの向こう側

13件の記録
- 葉鳥@kihariko2025年8月2日読み終わった両親に愛され過不足なく育ってきた箱入り娘の主人公が30歳で両親を亡くしその後の人生を歩み始める物語。 家庭環境は違えど同じ年齢で、彼女ほどではないにしろ世間知らずの自覚はあるのであまり他人事とは思えず読み始めた。 この先大丈夫かな…と薄目で見たくなるようなおっとりさだったけれど、気付けば主人公にも物語にも芯が出来ていて後半の展開には心惹かれた。読後感がとても良い。 登場する人々も魅力的でホッと一息つける作品。
- 四月@oic_2025年7月22日読み終わった主人公の実日子にとっては、自分を受け入れて愛し甘やかしてくれる両親のいる家は“ネバーランド”で、大人にならなくてもいい場所だった。 両親は実日子にたくさんの愛情を与えていたけど、実日子が1人になっても生きていけるような知恵は与えていなかった。 実日子はたくさんの愛情を受け取って両親を愛していていたけど、そんな両親に全てを委ねて自ら学ぼうとはしなかった。 きっと読むひとによってはそんな実日子に感情移入するのは難しいと思う。 けど、私はこの本が好き。 あたたかくて優しい物語は希望になるし勇気も貰える。 実日子がネバーランドの向こう側で出会った人たちの生き方や性格も様々で面白かったし素敵だった。もちろん、成長していく実日子もその一人。 私も大人になりきれていないけど、この本をきっかけにしてたくさんの生き方を学びながら選択肢を増やしていくぞ!
- 傘@umbrella__um2025年7月16日読み終わった帯にあった、「ずっと“いい子”でいたのに、どうして“いい大人”になれないんだろう」という言葉に共感したので、手にとった。 かろやかな読後感が好きだと思った。読み終わったあとにさわやかな風が吹いたような気分になる感じ。 大人になりきれない主人公が、環境の変化と様々な人との出会いによってどんどん自分の世界を広げていく姿が、楽しくて羨ましくもある。
- もん@_mom_n2025年7月11日読み終わった心に残る一節@ カフェ『スターゲイザー』の感想にも書いた覚えがあるが、佐原さんの作品を読むたびに、登場人物を魅力的に書くのが上手すぎる……!と痺れる。例に漏れず今作も最高。 物語も面白くて、読み終えてしまうのを寂しく感じつつあっという間に読んでしまった。実日子に振り回される椎名さんとサイトーくんをずっと見ていたい。登場人物みんなの幸せを祈っている。 p.14 死んだら星になる、という表現は、それなりに的を射ているのかもしれない。命がぱつん、と終わった瞬間、もちものがぜんぶさっ引かれて、あっというまに宙に引っ張り上げられる。という感傷のもと、星を見上げて、お父さん、お母さん、そこにいるの、なんて思ってみようともするけれど、ちまちまと瞬く光はだれがだれだかわからなくて逆にこわい。 p.116 痛くて情けなくて悲しくてじわりと涙が出てくる。 わたしにはもう、ゼリーのふたを開けてくれるような人もいないんだ。ひとりで生きるってそういうことなんだ。 p.186 残骸みたいな涙だ。悲しいとか苦しいとか、そういう気持ちはまったく湧いてこない。ただひたすら、もうじゅうぶんわかったから勘弁して、と音を上げたいだけ。わかったけど、わかんないから。