ペスト
10件の記録
🦈@Lore_Link2025年11月12日読み終わったp.46 天災は人間の物差しでは測れない。それゆえ、人間は天災を現実にはありえないものと見なし、やがて消え去る悪夢だと考える。だが、天災はかならずしも消え去らないし、人間のほうが、とくに人間中心主義者のほうが、悪夢からまた悪夢のなかへと消え去っていくのだ。 p.47 どうして、未来と移動と議論とを禁じるペストのことなど考えられただろうか? 彼らは自分を自由だと考えていたが、天災があるかぎり、人間はけっして自由になどなれはしないのだ。 p.63 「つまり、われわれは、この病気がペストであるかのように振る舞う責任を負わねばならぬということだ」 p.146 もし自分が全能の神を信じていたら、人間たちの治療をやめて、その手当てをすべて神に任せてしまうだろう。だが、この世の中の誰ひとりとして、神を信じていると思っているパヌルーでさえ、そんなことのできる神を信じてはいない。 p.148 世界の秩序が死によって維持されている以上、おそらく神にとっては、人間が神など信じず、神が沈黙したままの天国のほうなど見ずに、全力で死と闘ってくれたほうがいいんだよ p.219 「あなたには心がないんですか」とリューはあるときいわれた。とんでもない、ちゃんともっている。しかし、心がリューの役に立ったのは、毎日二〇時間耐えぬくため、そして、生きるべくこの世に来た人間が死んでいくのを見守るためだった。毎日それをくり返すのに役立っていたのだ。以後、心はせいぜいそれに役立つだけだった。そんな心がどうやって人の命を助けることなどできただろう? p.355 不条理とは、筋道が立たず、ばかげているということですが、カミュは、この状況を世界と人間の根源的な条件であると見なします。この世界には、神という創造主や、理性という思考の主体によってあたえられる先験的な秩序は存在しないということです。人間はつねにその不条理と直面しつつ生きていくほかありません。『ペスト』とは、疫病という不条理に襲われた人間たちの裸の状態を描く作品なのです。〈解説〉 p.356 ペストとは人間から自由を奪い、人間に死や苦痛をもたらすものすべての象徴であり、人間はそうした不条理とその場その場で闘っていくほかなく、そこから不条理を乗りこえる普遍的な処方箋を受けとることは不可能なのです。〈解説〉

かかぽ@reads_31042025年11月2日買った「百冊で耕す」で古典を読む必要性を多少なりとも理解したので、これと他にも色々買ってきた 昔の本は読むの苦手だけど、いつかは読もうと思ってたし、これを機に頑張るぞ
CandidE@araxia2025年3月26日読み終わった不条理への応答としての連帯、そして反抗の実践。COVID-19を経験した我々において、もはやオールタイムベスト。 抽象への批判と依存――すなわち抽象化がもたらす「誠実な対話や責任の欠如(批判)」と、「本能的な救済の手段(依存)」という両義性と逆説――は、不条理な現実を前にして証言や記録を残すこと自体がもつ二面性を示している。『ペスト』は、この狭間を揺れ動く我々の人間性、人間の条件の複雑さを丹念に描き出し、深く探究する作品である。 読むべし!



