父の恋人、母の喉仏

6件の記録
- 川内イオ@iokawauchi2025年3月31日読み終わった同業の先輩で友人、堀香織さんの著書『父の恋人、母の喉仏 40年前に別れたふたりを見送って』読了。 確かに父母を見送る話だけど、しっとりしんみりした内容ではない。堀さんは「人たらし」で3度も結婚したお父さんのテキトーな言動に呆れながら何度もツッコミを入れるし、歌舞伎町で働きながら3人の子どもをひとりで育て上げた母の恋やお店のお客さんとの交流なども登場する。 お涙ちょうだいのエモさもなく、面白おかしく茶化しもせず、かといってドライでもクールでもない。「ふたりの娘」「プロ物書き」として見事なバランスを保ちながら描かれた、ひとりの人間としての父と母。その人生は微笑ましくもあり、切なくもある。 父母の物語が横糸だとしたら、堀家の縦糸は筆者である堀さんの存在。子どもの頃に生活を共にした父親の元恋人に会いに行ったり、母が働いていた店でホステスをしたり、母とその恋人と3人で出かけたり、独特の感性と行動力が読者を飽きさせない。 同業者としての視点でいえば、場面、場面のディテールに目を見張った。細かな描写がリアリティを高めることで、映画やドラマのように登場人物が動く。カフェでこの本を読み進めていた僕は、「聴診器」のシーンで笑って泣いた。 友人としての贔屓目なく、ひとりの読書好きとしてこの本に引き込まれ、一気に読了した。思いのほか爽やかな読後感で、僕はすっかりいい気分になってカフェの席を立った。
- あつこ@atsuko_books2025年3月26日読み終わった映画を見終わったような気持ちで本を閉じた。 家族ってなんなんだろうな。 やっかいな存在だけど、時にたまらなく心の支えになることもある。 20代のときに看取った父と、いつかは看取ることになる母。ふたりのことを思いながら読んだ。
- あつこ@atsuko_books2025年3月19日買った仕事前に朝イチで本屋さんへ。 まだ棚に出てないなくて、書店員さんにお声がけしたらすぐに出してきてくれた。 朝日新聞での連載時には、自分が父の介護をしていたときの後悔をそっと軽くしてもらった。 半分以上書き下ろしとのことなので、読むのが楽しみ!