がらんどう

13件の記録
- もん@_mom_n2025年7月7日読み終わった心に残る一節@ 自宅すばる文学賞の受賞作が発表された時からずっと気になっていた作品が文庫化されていて、時の流れの速さに驚きつつ一気に読む。作品全体の不穏な空気感も津村さんの解説もよかった。 p.22 わたしは、普通じゃないことを選ぶのが怖い。なるべく地味で、目立たないでいることは楽だし、そうやって過ごすのにわたしの性質も見た目もぴったりだと思っていた。 p.72 身体から一切の力を抜いた。重力に任せて、指先まで意識を研ぎ澄ます。ベッドに横たわったまま、ぴくりとも動かさない。わたしは、時々こうやって死んだふりをする。 p.109 わたしの赤ちゃん。がらんどうで、歪で、できそこないの。それは、わたしにぴったりなような気がした。わたしの腕の中に、こんなにもすっぽりと収まるのだから。
- r i k a@icgjamjam2025年4月23日読み終わったマジョリティのしあわせを追い求めてしまうという、どこまで行っても空虚な願いとその無力感を抱いて生きている主人公。 選ばなかった方の人生が煌めいてみえる。 あたりまえのことだが、相手から見たこちらの人生もきっと煌めいてみえるんだろう。 「諦めないことが正解じゃないように、たぶん、諦めることも正解じゃないよ」 気取らないリアルな言葉づかいが、まるで居酒屋で隣の席の話を聞いているような。 文章の構成も巧みで、過不足のない一気読みの気持ちよさを味わうことができた。純文学好きに。