経済学レシピ

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saeko@saekyh2025年11月16日とっても読みやすくておもしろかった! 誰もが知っている食材の話から、華麗に経済学の話に展開し、ぼんやりと聞いたことはあるけれどよくわからない数々のトピックについての議論を展開してくれる、やさしい経済学エッセイ。 実はアフリカ大陸で生まれたというオクラの話から、自由貿易とは本当に自由なのか?という話へ。えびの養殖の話から、国家の経済を発展させるうえでの幼稚産業保護政策の話へ。ビーガンにも「他の客と平等に」鶏肉を提供するという航空会社の話から、経済と社会における平等と公平について考えたり、料理の味を引き立てるさりげない存在である唐辛子の話から、GDPの算出においては見えないものとされている女性ケア労働について考えたりと、身近なトピックから経済学についての知識を授け、社会のさまざまな課題について考えさせてくれる含蓄深い内容だった。
たなぱんだ@tanapanda2025年2月5日読み終わった感想オクラやチョコレート、コカ・コーラなどの食品にまつわる小噺を枕にしながら、経済学の考え方を解説する奇書。 奇抜な構成とは裏腹に、紹介される経済学の考え方は非常にオーソドックスだと思う。とくに、経済成長論や開発経済学関連の話題を扱った前半なんかは、去年のノーベル経済学賞受賞者のアセモグルの思想(経済発展に重要なのは、法制度や統治機関、経済政策などの "institution" だ)に通ずるところがある。 体系的に勉強する目的には合わないけれど、「ざっくりと経済学の考え方を学ぶ」ための読み物としては良書。 食品にまつわる小噺の部分も、うんちくに溢れていて面白い。著者が韓国出身の経済学者なので、とくに韓国の食事事情についての理解が深まる。 ・例:2010〜17年の韓国人のひとり当たりのにんにくの消費量は年間7.5キロで、イタリアの10倍以上。 文章は平易だし、翻訳も自然で読みやすい。各章コンパクトにまとまってるし、それぞれの章は独立しているので気になるところだけつまみ食いもできる。
