

やさしい犬
@yasashidog
犬だよ。気が向いた時に外国の言葉を勉強したり本を読んだり絵を描いたりするのが好きなんだ。いろんな人の絵を見るのも好き。おすすめの音楽・映画・本を知りたいから教えてくれるとうれしいな。
READSは読み途中の本の読書メモ用に使うよ。
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- 2026年2月22日
GOAT Summer 2025一穂ミチ,朝井リョウ,野崎まど読み終わった - 2026年2月22日
君の顔では泣けない君嶋彼方読み終わったまるで冬の夜明け前、凍てつくような寒さの中で、どこまでも澄みきった藍色の空を仰ぎ見るような読書体験だった。(以下ネタバレ注意) 物語の軸となるのは、15歳の夏に入れ替わった男女が、元の姿に戻ることなく大人になっていくという、残酷なまでに精緻な思考実験だ。語り手である坂平の視点を通じ、私は十代の頃に抱いた異性への得体の知れない戸惑いを追体験することになった。当時は言語化できなかった「性」による身体的・社会的な差異への反応が、入れ替わりという装置によって色濃く浮き彫りにされていく過程は、あまりに鋭く、そして懐かしい。 特に印象的だったのは、坂平が対峙する「二重の人生」の重責だ。自分の選択が、いつか戻るはずの相手の人生をも決定づけてしまう。その逃げ場のないプレッシャーの中で、坂平が反感を抱きながらも縋った水村の「余裕」と、その裏にある覚悟。そこに向けられた、呪いから解放されたと同時に多くを失った水村の母性的な優しさは、この物語における最も静かな救いのように感じられた。 「私(俺)の顔で情けなく泣かないでくれ」 この言葉が、苛立ちから始まり、最終的に互いを支える慈しみの言葉へと昇華される。そこには、性別という属性を脱ぎ捨て、一人の人間として、他人の人生を自分のことのように背負いながら成長していく二人の尊い姿があった。 多くの「入れ替わりもの」が元の自分を取り戻して終わる中で、本作が描いたのは、戻れない運命を抱きしめて生きるという究極の受容だ。読み終えた今、心にはあの夜明け前の空のような、厳しくも美しい静寂が広がっている。 - 2026年2月12日
GOAT Summer 2025一穂ミチ,朝井リョウ,野崎まど読んでる生まれたばかりのヤギを取材しに行く話。 のっけから「そもそも取材というものは取材という言葉で大義名分を得ているだけで先方にも通常業務の遅延などの嫌がらせになる。しかも雑誌名がGOATというだけで取材対象にされてしまった人間ですらない、赤ちゃんヤギにとってはかなりの迷惑、ストレスになるだろう」という旨の編集部に対する当て擦りのような文章のオンパレードで笑った。 - 2026年1月16日
GOAT Summer 2025一穂ミチ,朝井リョウ,野崎まど読んでる「遠山くんの実家で飼っていた犬の名前をもう思いだせない」も良かった。 主人公はデザイナー志望でありながら就活に失敗してつまらない事務仕事の傍ら時折スーパーのあってもなくても良いようなチラシのデザインを任される若い女性。ある時ほんの出来心で仕事の原稿にどうでも良い画像を透かし加工したまま入稿してしまう。 ありがちなちょっとした気の迷いからあれよあれよと悪の進路を進んでしまって破滅する後味の悪い物語かと思いきや、自分が歯牙にもかけていなかった、なんならちょっと小馬鹿にしていた存在に嗜められる。曲がっていた生活の芯をピリッと正される。それがなんとも小気味いい。 諦めきれない憧れの残滓が悪の芽と萌芽する様が切なくもリアルだった。目が覚めて、主人公が自分の憧れと真っ直ぐに対峙できるかどうかはわからない。けれどその過程を彼女がありのまま受け止められるようになった気がする。 - 2026年1月12日
GOAT Summer 2025一穂ミチ,朝井リョウ,野崎まど読んでる収録作品の中の上村裕香著「全身政治家」がめちゃくちゃ人を喰った話で面白かった。 とにかく顔がいい若きシゴでき市長から直々に生い立ちについてのインタビュー記事の依頼を受けた主人公。しかし話を掘り下げていくと奇妙な齟齬に気づく。勇気を出して本人に伝えると…。とにかくこの市長のキャラがいい。ビジュ良すぎる顔でシリアスに暗い生い立ちを語ってからのこのオチはもはやコント。しかしこれによって主人公が自分自身の過去と対峙する展開はちょっと感動してしまう。 こういう話大好き。
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