声影記

15件の記録
- 幸緒@kons_03202025年6月29日読み終わった読み終へし手紙ふたたび畳む夜ひとの折りたる折り目のままに/Ⅰ「鳥の影」 木犀のこぼれやまざる地上にて生ける軀を置く秤あり/Ⅱ「鉄扉」 「畳む」と「折り(たる)」の差異、「生ける軀を置く秤」という表現の神秘性。多く感動のある歌集だけれど、詠んでいるこのひとは歌のなかで感動に酔っておらず、一貫して冷徹なまなざしがある
- りなっこ@rinakko2025年3月23日読み終わった〈抱き来し本に移れる身の熱を贄(にへ)のごとくに書庫へ返せり〉 〈脳に思惟ともるごとくに藍さしてふかみて褪せしのちもあぢさゐ〉 〈星を聴く器官をたれももたざるに解剖なれば脳切りつくす〉 〈あやまちを卵のごとくならべゐる卓よ夜ふけて傾ぎはじめぬ〉 〈にはたづみまぶしく澄めり風に身を消さむなどとふゆめあきらめよ〉 〈眠りなさい かくばかり世を見つめては眼から椿になつてしまふよ〉 〈駿足のごとくレモンの香りたち闇のふかみへ闇退(すさ)りたり〉 〈みづからを送らむ舟を彫りいだす鑿(のみ)ありて鋭(と)く時を彫らむよ〉